レッズに来て最初に取った行動は「年上攻め」

 

 レッズはチームとしてとても仲がいい、ということは何回かこのコラムにも書いてきた。これは日ごろの「コミュニケーション」があってこそ。いつも一緒にいるとか、わいわいしている、とかそういう必要はなくて、適度なタイミングで、しっかりとしたコミュニケーションをとることで、そういうチームの雰囲気ができてくるんだと思う。

 それにサッカーは11人、そしてチーム全員でやるスポーツ。コミュニケーションはとても大事だ。レッズがこれから良くなるためにも、絶対にみんなとのコミュニケーションは欠かせない。

 今回は、そのコミュニケーションについて書いてみたいと思う。

 とはいえ、こう見えても僕はすごく人見知り。いきなりグイグイ入っていくタイプではなくて、「この人はどんなキャラ・性格なんだろう?」と考えて、自分なりに相手のキャラクターを把握してからではないと、自分から話しかけることができない。

 そんな僕がレッズに来たとき、最初に取った行動が「年上攻め」。もともと僕は(どちらかというと)「年上」に好かれるタイプ(苦笑)。いろんな意見やアドバイスを聞きたかったこともあって、まずは先輩たちに接近して、高原(直泰・現SC相模原)さん、都築(龍太)さん、山岸(範宏)さんら、チームを支えているベテランの人たちに認められようと思った。

 急接近できたのは、シーズン前のキャンプ。ホテルと練習場との移動バスで、たまたまチャンスがきた。後ろの方に座っていたベテランの人たちが座っている席しか空いていない。そこに座らせてもらえたら仲良くなれるかもしれない…。そんな思惑もあって、勇気を振り絞って「ここ座っていいですか?」と自分からお願いして、距離を縮めていった。

 山岸さんは強面な感じだったけれど、すぐに打ち解けてくれたし、都築さんもレッズ唯一の“関西出身つながり”ということで、比較的話しかけてもらえるようになった。高原さんは、もともと言葉数が少ない人だし、向こうから話しかけてくれるようなことも少なかったけれど、半年もすれば話せるようになった。

 高原さん同様、平川(忠亮)さんも自分から話しかけてくれるタイプの先輩ではなかった。いまはすごくかわいがってくれているけれど、出会った当初は本当に怖い存在だった。平川さんには自分から少しずつ話しかけていき、サッカーのことやレッズのことなど、いろんな意見を聞くようにしていた。「一度ご飯でも食べようか?」と声をかけてもらえるようになってからは、堀之内(聖)さんも同席してくれたりして、プライベートでも食事に連れて行ってもらえるようになった。平川さんは本当に信頼している先輩で、選手としてもすごく尊敬している。

 

コミュニケーションの基本は、礼儀を持って接すること

 

 僕のコミュニケーションの基本は、礼儀を持って接すること。

 結構ちゃらちゃらしてるように思われているけれど(笑)、そういう部分には人一倍気を遣っているつもりだ。どんなタイミングで会話をするのか、どうやって話しかけていくのか、という手段は二の次。

 まずは自分から行動で示していく。たとえば、エレベーターに乗ったら先に乗って「開」のボタンを押して誘導したり、朝会ったら「おはようございます!」とあいさつしたり、帰る際には「お疲れさまでした」と言ったり。そういう当たり前のところから始めている。人との付き合い方というのは、まずは自分から挨拶して顔を覚えてもらうというのがあって、だんだんと相手から話しかけてもらえるようになったり、食事に誘ってもらえるようになったり…といった次の段階に発展してくるものだと思う。

 礼儀を持って接すること。それこそが、コミュニケーションの第一歩。親しき仲にも礼儀あり――ということわざがあるように、ましてやスポーツの世界は上下関係がとても大事だと思うから。

 僕自身が先輩に対してそんなスタンスで接するタイプだから、後輩に対してもやっぱりそうした礼儀が気になってしまう。

 僕自身はどうやって身につけていったのか、あらためて振り返ってみると、目上の人間がやってきたことをつぶさに観察してきたのもあるけれど、年下としての振る舞い方について、もちろん最初からすべて完璧にできたわけではない。

 幸い、僕はサンフレッチェ広島ユース時代に寮生活を送らせてもらったのが大きかった

 寮長の稲田稔さんであったり、ユースの森山(佳郎)監督だったり、そういう人たちから(当時の感覚では)“口うるさい”指導してもらえたのは、振り返ってみればものすごくありがたかった。あの3年間を通して、僕は当たり前のことを当たり前にできるようになれたと思っている。

 ただ、年下の振る舞い方については、教科書には載っていない。さっきの話を例にとっても、エレベーターに乗ったら奥に入って立つのはありえないし、食事の席でも年下が一番奥に座るなんてことは、普通に考えてできない。その“普通”という常識というものが、最近の若者にはだんだんと薄れているような気がする。僕自身が年下と接する際は、やっぱり礼儀正しい子のほうが、素直にかわいいと思ってしまう。

 レッズのなかでは、槙野(智章)にしても、森脇(良太)くんにしても、おちゃらけキャラに見えるけれど、基本的にはすごく礼儀正しい人間。だからレッズというチームに溶け込めることができたと思っている。肩書きや容姿で、人間は生きているわけではないから

 コミュニケーションの問題がチームの結果を左右する、と感じたこともある。……とちょっと思わせぶりになったけどスペースがなくなったので続きはまた2週間後!

 

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