「一生に一度は買ってみたい」「一生モノのこだわり商品を手に入れたい」――。そんな気持ちにさせる、生活を豊かに彩ってくれるこだわりの逸品。「メイド•イン•東京の名品図鑑」シリーズでは、一個人のこだわり読者に、職人の技が詰まった、東京生まれの逸品を紹介します。
第4回は、「大黒屋」の「江戸木箸」です。

手前から五角6000円、七角8000円、八角6000円(ずべて税別)

角の数で変わる箸の感触

「箸は道具であり、道具であるからには使いやすくなければならない」との考えで、ほかにはないものを手作りし、販売しているのが大黒屋だ。

 大黒屋は、昭和62年に創業した。当初は仕入れた箸で商売していたが、平成になってからは「使う人が本当に満足できるものを追求していかないとだめだ」と思案を重ねて、オリジナルを生産するようになっていった。その名を一躍高めたのは、平成14年に製品化した五角箸。現在の大黒屋で特に売れているのは、七角や八角の箸だ。角がひとつ増えれば、手にした時の引っ掛かりと柔らかさのバランスが変わる。四角い棒状の木材を、高速で回転するベルト状のヤスリに押し当てて、体で覚えた感覚を頼りに五角や七角などの形に削り出していく。

 
 
 

服や靴を選ぶように箸を選ぶ


「服は試着するし、靴だって足に合わせて買うものなのに、どうして箸は自分の手に合ったものを選ばないのか」というのが、主人である竹田勝彦さんの思い。考えてみれば、確かにそうだ。手の大きさ、指の太さは誰も同じではないし、握りの感覚や好みも人それぞれであるはず。

 大黒屋の箸のバリエーションは、自分の手に合った箸選びを可能にしてくれるものだ。寿司や餃子といった少し大きなものを挟みやすい箸、お茶漬けなどを掻き込むようにして食べる際に便利な箸など、用途別に形状を変えた箸も豊富に揃えている。


「江戸木箸」というのは、大黒屋の登録商標。形だけを見ても三角、四角、五角、六角、七角、八角、九角、丸、小判といった多様さを誇る。冒頭の写真で紹介している箸は、素材に縞黒檀を使用した極上シリーズで最も人気とのこと。先端まで角を保った姿は実に美しい。

 大黒屋でならば、自分の手に馴染む一膳と運命の出合いを果たせそうだ。

 
大黒屋・江戸木箸
住東京都墨田区東向島2-3-6
☎03-3611-0163