ドイツの安定感は抜けていた

 

 お伝えするのが遅れてしまったけれど、ワールドカップの優勝予想が見事的中した! 

 ブラジルやアルゼンチンと比べれば、ドイツの下馬評は決して高くなかった。周囲を見渡しても、南米チームを優勝候補に挙げる人が多かった。確かにデータを見ても、南米大陸開催のワールドカップにおいて、これまで南米チームしか優勝したことはなかった。しかし、ふたを開けてみたら、南米の強豪2チームを倒し、モダンなサッカーを披露し、悠々とトロフィーを手にしたという印象だ。

 もともと、僕がドイツを推していた理由の一つに、彼らの「メンタルの強さ」があった。けれど、まさか、あんなに安定したパフォーマンスを見せてくれるとは思っていなかった。グループリ-グ初戦でポルトガルに4-0で勝利したことで勢いに乗ったのもあるし、決勝トーナメント以降もホスト国・ブラジル相手に7-1で大勝したのは出来過ぎとしても、チームとしての安定感と勝負強さは頭ひとつ抜けていたと思う。

 どんな相手だろうが動じない、どんな状況でもプレッシャーに屈しない。しかも、メンバーが入れ替わっても安定感を維持し、自分たちのサッカーを貫いて優勝することができるメンタリティは「すごい!」のひと言に尽きる。

 

玄人好みのクロースのプレー

 

 個人的に選ぶベストマッチは…「スペインvsオランダ」だ。前回の南アフリカ大会の決勝と同一カード。しかも「ポゼッションvsリアクション」という戦術的に対照的なスタイルの激突――。まさに“因縁の対決”と呼ぶにふさわしい。

  5バックという超守備的な布陣で臨んできたオランダの“守備網”を、スペインのパスサッカーはかいくぐることができるか。そんな視点で試合展開を眺めていたけれど、スペインはシャビとイニエスタを軸に流れるようなコンビネーションで、蜘蛛の巣をかいくぐるかのようにチャンスを作り出していた。オランダの鉄壁に真っ向勝負で挑んだスペインの姿に感動したし、前半は間違いなくスペインのペースだった。

 もし、ファン・ペルシのダイビングヘッドが生まれなかったら、オランダは息を吹き返すことはできなかったかもしれない。さらに2点目をスペインのほうが決めていたら勝敗は変わっていただろう…。「プレーひとつで流れがガラリと変わってしまう」というサッカーの恐さとともに、ダイナミックなゴールに勝負のあや、戦術的な駆け引き…。サッカーの醍醐味がすべて凝縮されていた90分間だったと思う。

 今大会、MVPに輝いたのはアルゼンチンのメッシだった。もちろんメッシが世界で一番うまい選手で、魅力的なプレーヤーであることは間違いない。ただ、僕が選ぶとしたら優勝したドイツから。ノイアーかクロースだ。

 ヨハン・クライフが「今大会最大の発見」と評価していたみたいだけど、クロースは地味ながらもチームへの貢献度はすこぶる高い。中盤の構成力が落ちなかったのは彼の存在が大きかったと思う。僕もクロ-スのプレーを見ることが楽しかったし、すごく学ぶことが多かった。玄人に好まれるタイプのプレーヤーだと思う。

 

周ちゃんはノイアーのような安心感をもたらす

 

ノイアーか、クロースか――。柏木選定、大会MVPをひとりに絞るとしたら、やはり前者になるだろう。

 そもそも戦術上、ドイツは最終ラインを高く設定してプレーするため、DFの背後に広いスペースが生まれる。その“背後のスペース”を突かれるのが怖いはずだが、その広大なスペースをカバーしていたのが、GKのノイアーの“走力”と“判断”だった。たびたびノイアーは、まるでリベロのように飛び出して再三のピンチを消していた。

 そして、フランス戦の終了間際にはベンゼマの至近距離からの鋭いシュートを右手1本で跳ね返したように、シュートへの対応もトップレベルにあった。GKの仕事だけでなく、リベロの役割をこなしていた。ノイアーがMVPに選ばれても不思議ではない。

 僕たち浦和レッズでも、周ちゃん(西川周作)がもたらす安心感は計り知れない。J1リーグが再開し、チームは7試合連続無失点ゲームという新記録を作ったけれど、周ちゃんの存在がなければ、2、3試合で止まっていたかもしれない。

 去年のチームと比べて、どうして失点が激減したのか。その答えは単純明快。チームとしての守備意識の変革はもちろん、要所で周ちゃんが神掛かり的なセーブをもってノイアーのような安心感をもたらしてくれていることが大きいからだ。今回のワールドカップでも、ゴールキーパーの存在価値は証明していた。ゴールキーパーがもたらすチームへの相乗効果は、どのポジションよりも多いかもしれない。

J1リーグも後半戦に突入し、これからヴィッセル神戸、川崎フロンターレ、サンフレッチェ広島と上位陣との対戦が続く。この3連戦を乗り切れば、いよいよ“優勝”という二文字が現実味を帯びてくるはずだ。みなさんに良いニュースを届けるように必死にハードワークしたい。また2週間後!

 

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