社長がやるべきは「経営」という仕事

 会社には営業や人事、製造といった具合にさまざまな仕事があります。それぞれ異なる仕事です。それと同じで、経営というのも全く別の仕事なのです。

 経営コンサルタントの大先輩に故・一倉定(いちくら・さだむ)先生がいらっしゃいますが、一倉先生が「ダメな会社というのは、社長が部長の仕事をし、部長が課長の仕事をし、課長が係長の、係長は平社員の仕事をしている。そして、平社員は、会社の将来を憂いている」とおっしゃっているように、社長は社長の仕事、つまり「経営」という仕事を行わなければならないのです。しかし、それが理解されていないことが多い。

 サントリー社長の新浪剛史さんは、その前にローソンの社長をしています。つまり、新浪さんはローソンでの経営手腕を評価され、社長としてサントリーに入社しているわけです。こうした社長のヘッドハンティングはアメリカなど海外では日常茶飯事で、A社で人事の仕事をしてきた人がB社で同じ人事の仕事を遂行する能力があると見なされるのと同じ話。これは、「経営」という仕事があるからなのです。

 逆に、営業で実績を上げ会社に利益をもたらした人材だからだといって、いきなり経営の仕事ができるわけではありません。経営は経営で、また違う仕事なのです。オリンピック競技でも、陸上競技で金メダルを取ったからっていって、水泳で金メダル取れるのかというと、それはまた別の話だと言えば分かりやすいでしょうか。