時代とともに生まれ 分裂した日本仏教宗派

 わが国の仏教事情を文化庁発行の『宗教年鑑』で見ると、日本仏教は13宗56派に分かれる。56派は煩雑さを避けるために省略するとして、13宗は下の表の通りである。
 13宗はそれぞれ異なる開祖を持ち、異なる教義を持つ。そして教義の違いは、根拠とする教典の違いが大きく影響している。こうした仏教宗派は、その時代の世相を反映して誕生してきた。
 13宗のうち、法相宗、華厳宗、律宗は奈良仏教に属する。552年の仏教伝来以来、国家が取り入れてきた学問仏教だ。有名寺院は多いが、檀家はいない。 平安時代になると個人の救済が意識されはじめ、国家仏教から救済宗教への転換が開始される。最澄が天台宗をもたらし、空海が真言宗を立ててその意義を明らかにした(平安仏教)。

写真を拡大 奈良仏教と平安仏教

 困難と苦渋に満ちた鎌倉期、時代は宗教的天才たちを生み出した。良忍、法然、親鸞、栄西、道元、日蓮、一遍らであり、本格的な救済仏教が登場した。江戸期に請来された黄檗宗を除き、今日に続く仏教宗派はこの平安・鎌倉仏教の系統に属する。

写真を拡大 鎌倉仏教と黄檗宗

 世界思想に通じるともいわれる各宗祖の思想を、今こそ吟味し直すときが来ている。