聞こえてきた笑い声?

39歳、初登板。
エラー、ヒット、ヒット、ノーアウト満塁。

キャッチャーが慌てたようにマウンドにやってきた。
それは、そうだ。
トライアウト二日目。この日から最終日までAチームとBチームに分かれ計6試合を行なう、その初戦だ。7回から初めてのマウンドに立った僕はいきなり大ピンチを迎えていた。

前日。
説明を受けた後、体力測定を行なった。グラウンドにはトライアウトを手伝う担当だった現役の選手や、香川オリーブガイナーズの監督であり、広島カープで活躍された西田真二さんやヤクルトスワローズなどでもプレーされて僕のピッチングの指導もしてくれることになる伊藤秀範コーチなどが待っていた。

グラウンドに入った瞬間、「ヴェーヴェー」という声(僕の芸人としての持ちネタ)や、クスクスといった笑い声が聞こえた。そして西田監督の声。

「おー、すごい歳の人がきたぞ! おじさんがんばってやー」

和ませるためにやってくださったのだろうけど、実はこのときの僕は、それを感じる余裕がなかった。前回書いた、自己紹介の際、「受け入れられていないのかもしれない」という会場の雰囲気とあわせて、もしかしたら冷やかされているんじゃないか、そんな不安がよぎった。

ただ、ラッキーだったのはアップがものすごくきつかったことだ。

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