国際教育支援NPO「e-Education」創業者の税所篤快(さいしょ・あつよし)と申します。

平成元年生まれ、ただいま26歳。19歳のときに友人とバングラデシュに渡ってから、五大陸にDVDの映像授業を届けることで、世界中の教育格差の打開に取り組んできました。現在は、アフリカのソマリランドとバングラデシュのダッカを行き来していくつかのプロジェクトを進めています。

高校時代は偏差値28を叩きだした「落ちこぼれ」だった僕が、なぜこうしたプロジェクトを進められるに至ったのか。

そんな僕のスタートアップの物語を、僕をサポートしてくれた人々と言葉からお伝えしていこうと思います。

前回に続き、第二回は僕の最高のロールモデルの一人、社会起業家・駒崎弘樹さんです。

 

こうやって、社会は動かせるんだ……
僕たちにもできるかもしれない。

 

米倉誠一郎先生が最高のメンターであれば、駒崎弘樹さんは最高のロールモデルの一人だ。

「夢中になれる何かをしたい」そんな僕を社会起業へと向かわせた原点には、二冊の本がある。一つが『チェンジメーカー』(渡邊奈々著/日経BP社)。

 

海外の事例を中心に、社会起業家がどのように世界を変えたのかを記した本だ。そしてもう一つが、駒崎さんが書いた『「社会を変える」を仕事にする』(筑摩書房)だった。

 

日本では、子どもが病気になっても預ける施設がなく、働くお母さんが困っている。その「病児保育」という社会問題の解決を目指したのが、駒崎さんのNPO「フローレンス」だった。

この本を読んで、真っ先に僕が思い出したのは有名RPGゲーム「ドラゴンクエスト」。勇者や魔法使い、戦士などいろいろな仲間たちが七転八倒しながらチームを組んで、感動や苦難を共にする冒険物語が、僕は大好きだった。一度きりの人生、駒崎さんのようにチームを作って「ドラクエ」のような冒険をしたい……僕の気持ちは社会起業へと一直線に向いていった。

 

駒崎さんは膠着した社会の仕組みに対峙しながら仲間を集め、その活動をマスコミや政治家のあいだにも広げていく。「こういうやり方で社会は動かせるんだ」という驚きと、それまで遠い世界にあった社会起業が、等身大のストーリーとしてごく身近に立ち現れた興奮が僕を包んでいった。

僕たちにもできるかもしれない。かねてから問題意識のあった「足立区の教育問題」を解決するため、無料塾「ただ塾」というアイデアを立ち上げた。

足立区の子どもたちの学力は都内でも著しく低い。子どもを塾に行かせられない世帯が多いのだ。「ならば、僕たち早稲田大学の学生がボランティアで塾を作れば、この問題は解決できるんじゃないか」と考えた。

 

塾のスペースは商店街のシャッターが閉まっている場所を借りれば、お金もかからない。無料塾があれば商店街にも人が集まってくるし、親も無料で子どもを塾に通わせることができる。僕と同じく駒崎さんの本で社会起業に興味を持った5人の友人が集まって「ただ塾」のプロジェクトは走り出した。これも結果的にはうまくいかなかったのだけど、ここから僕の長い長い冒険が幕を開けたのだ。その第一歩を踏み出すきっかけをくれたのは、間違いなく駒崎さんだった。

<『若者が社会を動かすために』より抜粋>