さまざまな国のベストセラーを、現地在住の記者がレポートしていく連載『世界の書棚から』。第3回は、北欧の国ノルウェーで話題となっている書籍を紹介します。日本人にはなかなか馴染みのない「移民問題」。当事者は他国からやって来る移民に対して、どのような受け入れ方をしているのでしょうか? 一冊の小説をもとにひも解いていきます。

 

ノルウェーの移民問題の深刻さを
浮き彫りにした小説

「移民達は皆カーテンを閉めている」は移民が多く住むオスロの某地区の生活を描いた小説です。ノルウェーへ移住してくる移民の増加に伴い、彼らがどのようにノルウェー社会に溶け込み共存していくかは、ノルウェー社会で非常に関心度が高いテーマであることからこの本は人々の関心を集めています。戸惑いながらもノルウェー社会で生きる移民の日常が詳しく描写されており、言語、習慣そして文化も全く異なる国々から来た移民の苦難や葛藤を描くこの本は、大勢のノルウェー人の心を揺さぶりました。

 

出版社の諸事情でノルウェーに先駆けてデンマークで発売されましたが、著者マリア・ナバロ・スカランゲルはこの本が発売された2015年にノルウェー小説部門新人賞を受賞しています。

2015年度にノルウェーへ移住した難民を含む移民は約3万人でした。これは前年度の3倍でありシリアやアフガニスタンなど紛争地帯の中東からの難民が多いです。また経済不況のヨーロッパ他国からより良い生活を求めノルウェーへ労働を目的としてくる移民も年々増加しています。ノルウェーでは国民の半数以上が移民に対して寛容であり、労働人口が不足しているノルウェー社会にとって移民を受け入れることはプラスと受け止められています。しかし、最近のテロ事件の影響を受け、イスラム系移民に対し反対する右翼系政党への支持率も増加しており、移民問題への対応は今後も目を離せない重要な問題となるでしょう。