国際教育支援NPO「e-Education」創業者の税所篤快(さいしょ・あつよし)と申します。

平成元年生まれ、ただいま26歳。19歳のときに友人とバングラデシュに渡ってから、五大陸にDVDの映像授業を届けることで、世界中の教育格差の打開に取り組んできました。現在は、アフリカのソマリランドとバングラデシュのダッカを行き来していくつかのプロジェクトを進めています。

高校時代は偏差値28を叩きだした「落ちこぼれ」だった僕が、なぜこうしたプロジェクトを進められるに至ったのか。

そんな僕のスタートアップの物語を、僕をサポートしてくれた人々と言葉からお伝えしていこうと思います。

第四回は、バングラデシュとの出会いのきっかけを作ってくださった坪井ひろみ先生です。

 

「バングラデシュの現地の人々に寄り添う」という言葉

 

「一人前の男になってやる。世界に出て、修業をする」

僕は大学に入って最初に付き合っていた彼女に、突然別れを告げられた。本当に、突然のことだった。

男として、僕に何が足りなかったんだろう。もう二度とこんな思いはしたくない。さまざまな思いが去来する中で、一人前の男になるべく世界に出ることを決めた。

何かデカイことを一緒にやろう。そう誓い合った三好大助と共に、どうやって世界に出るのかを模索していた。そこで出会った本が、坪井ひろみ先生の『グラミン銀行を知っていますか』(東洋経済新報社)だ。

 

バングラデシュにあるグラミン銀行は、農村の貧しい人々が商売を始められるよう、少額のお金を貸して自立を支援している。坪井先生は日本におけるグラミン銀行研究の第一人者だ。1995年、バングラデシュから来た留学生が「貧者にお金を貸している銀行がある」という話をしたそうだ。それを聞いた坪井先生は「お金を恵んであげるのではなく、貸している」ことに衝撃を受け、長年グラミン銀行のフィールドワークで現場を見続けてきた。

 

断っておくと、『グラミン銀行を知っていますか』は決して感動できる種類の本ではない。

むしろ、綿密に真実だけを追い続けた、力強く地に足ついた研究の成果だ。僕はこの本を読んで、グラミン銀行に登録している貧しい女性たちの9割以上がお金を返している、という事実に心を打たれた。これはビジネスとして収益を上げながら、人助けをする究極の仕組みだ。