脚本を担当する三谷幸喜は、『新選組!』以来、2度目の大河ドラマ。「次は真田幸村をやりたいという夢が叶った」と語る。

真田幸村こと信繁を題材にした意図はなんでしょうか。

「僕は歴史が好きで、勝者と敗者で分けると、敗者が好きなんです。時代を作った人よりも時代から虐げられた人、時代から取り残された人たちの人生にすごく興味を持っていました。なかでも真田信繁は人生のピークが、ドラマで例えるなら最終回に来る。そういう人物を描きたかったんです」

本作全体に横たわるコンセプトはどんなものでしょうか。

「長いドラマなので一言で言うのは難しいです。ただ、ご存知のように信繁は最後、大坂の陣で死んでしまいます。僕は敗者が好きですが、滅びの美学みたいなものは好きじゃないんです。最後の最後まで希望に満ちた信繁でありたいなと思うし、彼は自分の死に花を咲かせるために大坂城に入ったということではなく、勝つつもりで入り、ひょっとしたら家康が死んじゃうんじゃないかってところまで視聴者が思ってくれるような、ある意味前向きなドラマにしたいと思っています」

一般的に知られているのは小説や講談で広まった「幸村」という呼び名。本作では史実の通り、本名の信繁で統一している。

真田信繁という名を使うことに、どんなこだわりがありましたか。

「可能な限り史実に近いもので、歴史に残ってない部分は想像力で埋めていく。そう考えると真田幸村という名前、もしくは(伝承上の架空の人物とされる)真田十勇士というものが邪魔になってくるんです。真実の真田幸村を描くにはどうしても名前は信繁でなくてはいけなかったですね。僕の中では。もちろん真田幸村という人物の波乱万丈な講談のような物語も大好きなんですけど、今回はそっちではありません。だから真田十勇士も登場しません」

脚本を書く上で心掛けていることは何でしょうか。

「信繁が見ていない、体験していないものは、大きな歴史上の事実でも、なるべく描かないようにしています。逆に信繁が見たであろう、見たかもしれない出来事はなるべく細かく描いています。信繁の目線で感じた豊臣秀吉をはじめ、北の政所、石田三成とか。そういう描かれ方って、今までにあまりないと思います。僕自身もどんな画になるか楽しみにしています」