「ちーす! なんすか、店長。この混み具合は?」

「イェイ♪ 石川ちゃん、どもっす。

昨夜のテレビ『トゥナイト2』でさ、紹介されたからなんすよ」

「やっぱっすか、それ観ましたよ。北野誠がレポーターだったでしょ?! 

深夜番組なのに、みんなよく観てますよね」

「でしょ。コツコツ『高円寺街歩きmap』配っても単打だもん。テレビは儲けのホームラン王だって、恐ろしい話です」

「あ! それ、杉作J太郎さんのギャグパクリ(笑)」

「すんまソング。

あ、来月の『ゲゲゲで石川邸バーベキュー』まった今年もよろしくお願いしますね。版元のリトルモア軍団が大挙、押しかけると思うので!」

「つうか、店長。あちこちで人んちだけどボクんちみたいなもんって言ってるんでしょ(笑)」

「言ってるんです(笑)」

なんて、言っていられたのも束の間。帰宅時間帯にはお客さんのなかを縫って歩く大混雑! 高円寺の住人が、いかに深夜族で夜中のテレビを観ているかを思い知らされた。

 

アタマの中には、The Beach Boysの「素敵じゃないか」が流れる。

Scene.22 本屋って! 素敵じゃないか。

 

アンクルトリスの爪楊枝入れが盗まれた!

バイトの杉ちゃん企画で、彼が作家の山口瞳が好きだからと始めた文庫のフェア。そこに、家から持って来て飾っておいたら・・・・新潮文庫の山口瞳作品は、表紙が柳原良平の絵だったから相応しいディスプレイだったのに!

小学館が送って来た、販売促進用のドラえもんを盗まれたこともあった。ビニール製でも愛くるしいドラえもんの表情が気に入って、販促展示を終えたら貰って帰ろうと思っていたら盗られてしまった。盗難にはやや慣れっことはいえ、自分のコレクションを盗まれるのはショックだったなぁ・・・・。

「店長。永作博美、よかねぇ~」

「なんね!」

「内山さん。店長、ご機嫌ななめなの」

「店長。レジ、代わります。

店長のデスクに置いてあった、大友克洋さんの漫画2点はなんですか? 綺譚社なんて発行元の出版社は、ボク知らないですよ」

綺譚社刊、大友克洋さんの『BOOGIE WOOGIE WALTZ』。この頃の作品が、好きなんだなぁ~大友さんの、サイン会をしたかった!

「だろうね。クロちゃんが、生まれた頃なんじゃないかな・・・・

大友さん、81年の作品の『GOOD WEATHER』と82年の『BOOGIE WOOGIE WALTZ』なのよ。

本店のコネでさ、大友さんから直接仕入れられたんだ。」

「じゃ、あんまり出回らなかった希少本なんですね」

「だと思うな、発行部数なんて知らないしさ。本店勤務時代に、大友さんの家にサイン本を受け取りに行ったんだよ!」

「マジすか?! 

じゃ、大友さんのお家を知っているんですよね?!」

「それが、ホントに忘れちゃった。

大友さんは不在だったんだけどさ、玄関の中には大友さんの名前の千社札を貼った自転車があったのだけ覚えているくらい」

「怪しいなぁ、ボケか天然か・・・・」

「クロちゃん、ナイスプレー!

店長。好きな大友さんの話で、ご機嫌が直ったみたいよ!」