「知的武装のための読書」なんて実にくだらない!

ゲーテ、ニーチェ、ヘッセ、アレント、小林秀雄、三島由紀夫……

彼らはどのように「本」を読んでいたのか?

偉人に学べば人生は確実に変わる!

哲学者・適菜収の待望の新刊『死ぬ前に後悔しない読書術』

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はじめに 

生きているだけでダメになる時代

 

 いったい人は何のために本を読むのでしょうか?

 情報を得るためでしょうか?

 もちろん、情報を得るために本を読むことは多い。

 しかし、それだけでは不十分です。

 情報を得るための読書は子供だってやっています。

 子供はそれでいい。とにかくいろいろ読んで、成長する時期だと思う。

 小さい頃は、こうした読書で間に合いますが、大人がそれだとまずい。

 世の中には「とりかえしのつかない人」が存在します。

 誰でもいいので、ダメな人を思い浮かべてください。

 おそらく彼らは話があまりかみ合わない人間だと思います。

 三秒くらい話せば、「ああ、この人は、とりかえしがつかなかったんだな」とわかる。

 一方的に愚痴をこぼしたり、自慢話を始めたり、いきなりキレたりする。

 歴史や社会や人間に対する理解も浅い。なるべく一緒にいたくない人たちです。

 彼らは無知とは限りません。

 タチが悪いのは厖大な知識をもつバカです。

 政治家、大学教授、弁護士といったそれなりの社会的地位についていたりするので余計に面倒です。

 では、彼らはどこで道を踏み外したのか。

 なぜ、人間はとりかえしのつかないことになってしまうのか?

 私は読書に対する姿勢が大きくかかわっていると思います。

 彼らに共通するのは、「子供の読書」を大人になっても続けていることです。

 つまり、合理的に、理性的に思考を重ねていけば答えにたどり着くと深く信じている。

「正解」が存在するなら、それを効率よく、短期間で、手に入れようという発想になる。

 だから、「速読法を学んで、最先端の情報を処理し、知的に武装しよう」といった方向に行ってしまう。

 はっきり言ってくだらない。

 今の世の中、ここまでおかしくなったのは、本ひとつ、まともに読めない大人が増えたからではないでしょうか。

 特に今は急速に世の中が悪くなってきています。

 会社に依存もできないし、リストラされたら立ち直れない。将棋でもフットサルでも趣

味があればまだマシですが、一人になったら何をしていいかわからないという人も多い。

 個人も社会も、袋小路に迷い込んでしまっている。

 そこから抜け出す方法は、ただひとつ、本を読むことです。

 闇雲に読めばいいのではありません。

 読むべき本を真っ当に読むことです。

「読みたい本を自由に読めばいいだろ」

「真っ当ってなんだよ」

「じゃあ、お前はとりかえしがついているのか?」

「上から目線で偉そうに」

 こういう脊髄反射的な連中が典型的な「とりかえしのつかない人」です。

 念のために言っておきますが、本書では、私が自分なりの「読書術」を語るのではありません。

 歴史を振り返れば、すでに道は示されている。

 先人の知恵に学びながら、再びそれを示すだけです。

 読書なんてどうでもいいと思っている人間は論外です。

 縁を切ったほうがいいと思います。

 物理的に縁を切ることが難しくても、精神的に縁を切る。

 相手にしないということです。

 読書なんてどうでもいいと思っている人間は、世界なんてどうでもいい、社会なんてどうでもいいと思っている人間です。もっともかかわってはいけない人間です。

 結婚相手だって、本を読まない人間はダメですね。

 たとえ、目と鼻と口がついていたとしても、それは生物としてヒトなだけであって人間とは呼べない。なぜなら、本書で示すように、読書は人間であることの前提条件であるからです。

 大事なことは、真っ当な世界に連なる意志をもつことです。

 これから説明していきますが、「世界」とはそれを受容する側が生み出すものです。

 だから、「子供の読書」を卒業し、「大人の読書」を始めることで、世界自体が変化する。

 実際に見えてくるものが違う。

 読むべき本を読めば、人生は確実に変わります。

 近代とは何もしないでも人間が汚れていく時代です。

 コタツに入って、みかんを食べながらワイドショーを見ているだけで、人間は腐り果てていく。

 正気を維持し、人間として生きるのにも努力が必要です。

 単にヒトとして生き延びることが目的なら、餌としての「情報」を摂取するだけで十分かもしれません。でもそれでは、家畜と同じです。

 「やはり今の世の中おかしいのではないか」「いまさら手遅れかもしれないけど、人生なんとかしたい」と思っている人は多いはずです。

 本書では、家畜の世界とは別に、真っ当な人間の世界が確固として存在することを示していきます。

 

適菜

著者略歴

適菜 収(てきな・おさむ)

1975年山梨県生まれ。作家。哲学者。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』(以上、講談社+α新書)、『日本をダメにしたB層の研究』(講談社+α文庫)、『日本を救うC層の研究』(講談社)、『なぜ世界は不幸になったのか』(角川春樹事務所)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志・中野信子との共著『脳・戦争・ナショナリズム 近代的人間観の超克』(文春新書)など著書多数。