昔から人の生活圏にあった低山は特別な技術は必要なく誰にでも登ることができる。古くから人と関わってきた歴史ある山だから誌歌に歌われたり、小説の舞台になったりしてきた。そんな歴史の面影を愉しめるコースと展望と自然美に感動間違いなしのコースを低山歩きの達人に教えてもらった。

日本中の低山を登った達人が教える
ヤスヒコ流、低山ウォーキングの愉しみかた

 低山は誰でも気軽に、日帰りで安全に登って下りてこられる山、特別な技術もいらない山、言ってみれば里山。人が昔から入って山仕事をしたり、キノコをとったり、薪や炭を作ったりといった、人とのつきあいがあった山が低山だ。だから登山、というよりも山歩きという言葉の方がふさわしいかもしれない。低山の基準がないと困るので、私は「深田百名山」が1500メートル以上とあるところから、1500メートル以下ということにした。だが1500メートルだと、高い感じがするところもあるので個人的に標高としては1000メートルくらいまでかなと思う。

 低山歩きというのは歩いている時間が短い。私は歩行時間だけで3時間くらいを標準にしている。歩く時間以外にも休憩時間もとっておかなければならないし、頂上でゆっくり景色を楽しむ時間も欲しいからだ。

 低山というのは持っていく装備が少ないので、コーヒーもコンロからパーコレーターまで持っていけるし、ワインなんてボトルで持っていくこともできる。山頂でワインやコーヒーを飲んだり、サンドイッチを作ったりとかできるのも低山ならではの楽しみのひとつだ。

 それでも登って下りてくると時間が余る。その余った時間、立ち寄り温泉に入ったり、神社仏閣を訪れたり、麓の町の面白いものに触れたり、土地のおいしいものを食べて帰ったりとか、そういうプラス・アルファが楽しめるというところも低山歩きのいいところだ。

 さて、低山とは言っても上り坂もあれば足場の悪い場所もある。だから歩き始める前には、軽いストレッチを必ずして欲しい。歩き始めはゆっくりと、まずは体を慣らしていき、自分に合った休憩のとりかたを心がけよう。例えば30分歩いたら3分休む。1時間歩いたら5分休むといった具合だ。
 目安としては歩いた時間の1割程度の休憩がちょうどいい。座って休憩しても、立って休憩してもよいのだが、長く休憩するのは体が冷えるので避けるべきだ。水分と行動食は歩きながらでも、休憩のときでもまめに摂るのがよい。
 平地で転んだ場合は打ち身程度で済んでも、山の場合は転んだ場所によっては事故につながる場合がある。路肩が崩れていたり、落ち葉が穴を覆っていたりすることもあるので、なるべく道の真ん中や山側を歩くようにしよう。

 最初のうちは人気のある低山を歩くようにするといい。そういう山は道標もしっかりしていて、山歩きしている人も多く安心できるからだ。低山でも地図、磁石(コンパス)、ヘッドランプ(懐中電灯)は常に持参し、地図の見方と磁石の使い方を覚えていくのが得。そして、ある程度地図や磁石が使えるようになってから、ワンランク上の山へ行くようにしよう。

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