推薦入試は「東大改革」の布石

平成28年度から、東京大学が推薦入試を開始する。

東京大学の公式ホームページよると、推薦入試の目的として、
「総合的改革の一環として、多様な学生構成の実現と学部教育
の更なる活性化を目指す」との記述がある。

「多様な学生構成」を実現するための「改革」の
必要性が生まれた背景とはなんだろうか。

地方に埋もれた原石を集めたい

多数の東大合格者を育ててきた予備校講師の相澤理氏は語る。

「東京大学は優秀な学生を選抜するための最も確実な手段、
すなわち、学習指導要領を遵守した出題を実践しています。

 こうして、東京大学はすべての高校卒業者に門戸を開放するという形で、〈教育の機会均等〉を保障しているのです。

 しかし、現実には、大都市圏の中高一貫校に合格者が集中し、親の年収の平均も他大学と比べて突出しており、〈教育の機会均等〉とは言えません。このような状況が生じているのはなぜでしょうか?

 筆者は各地の高校で受験指導や講演を行っていますが、そもそも東大を目指そうとしないという現実に直面します。首都圏の進学校の生徒と比べても遜色のない潜在能力があるのに、「自分には無理だから」と尻込みしてしまう。逆に、東大を受けたいという生徒に、こともあろうに高校の先生が「お前には無理だ」とストップをかけてしまう。受けないのに受かるはずがありません。

こうした状況に不利益をこうむっているのは、他ならぬ東京大学です。全国から優秀な学生が集まらなくなっているのですから。東京大学が推薦入試を実施すると発表して話題になりましたが、(主に地方の)高校の先生から受験擦れしていない原石のような生徒を紹介してもらって、多様な人財を確保するというのが狙いだと、筆者は見ています。」

東京大学を皮切りに、地方から多様な学生が集められる試みが進められていくことで、さらなる大学の活性化が期待できるはずだ。

〈『入試問題で歴史を推理する 東大の日本史「超」講義』より抜粋〉