「読書で知的武装」するなんて実にくだらない!

「情報を仕入れるための読書」から、いい加減、卒業しよう!

ゲーテ、ニーチェ、アレント、小林秀雄、三島由紀夫……

偉人たちはどんな「本の読み方」をしていたのだろうか?

正しい「思考法」「価値判断」を身に付ける読書術とは?

哲学者・適菜収が初めて語る「大人の読書」のススメ。

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第20回

本を捨てる

 

 私は本を「捨てる派」です。

 簡単に手に入らない本や仕事で頻繁に使う本は手元に置いておきますが、基本的には捨てます。

 よほどの金持ちでない限り、大量の本を所有することはできません。

 よく本の重みで床が抜けたとか、家族とトラブルになったという話がありますが、そこまでいかなくても、本は自然に増えていきます。本棚をいくつも並べておくためだけに家賃を払うことはできない。

 だから捨てるしかないと思います。

 廃棄の効用は、捨てるときにもう一度読みたくなることです。

 パラパラとめくって、傍線が引いてあるか確認する。引いてあれば、残しておく価値があるか考える。

 その必要がない本はいらない本です。

 なお、現在の私の蔵書数は二〇〇冊くらいです。本棚は一つです。

 あと、せっかく買ったのだから全部読むというのは時間のムダです。

 間違って買ったなら、自分の不明、愚かさを恥じ、勉強代だと思ってゴミ箱に捨てましょう。くだらない本は、古本屋には売らないほうがいい。社会に害を撒ま き散らすようなものですから。

 少々高くても、必要な本は買うべきです。

 図書館で目を通し、手元に置くべきだと判断したら、借りずに買ったほうが二度手間にならない。借りた本には、傍線を引くことができませんから。

 ニーチェは言います。

 哲学は精神的な丘陵地帯を数百年をつうじて確保すべきだ、かくして一切の偉大なものの永遠の豊作を。
(中略)
 崇高なものの確保!
 なんらかの英雄的な力を呼吸している書物が、現代においてはなんと異常に欠如していることか! ──プルタルコスすらもはや読まれていないのだ! (『生成の無垢』)
プルタルコス (四六年頃〜一二七年頃) 帝政ローマのギリシャ人著述家。著 書に『対比列伝(英雄伝)』などがあ る。

 偉大なもの、崇高なものを確保する。

 ゴミは拒絶する。

 読書百遍自ずから通ず。

 目を覚まして、人類の知的遺産に向き合うべきです。

 

〈第21回「悪を直視する」につづく〉

 

著者略歴

適菜 収(てきな・おさむ)

1975年山梨県生まれ。作家。哲学者。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』(以上、講談社+α新書)、『日本をダメにしたB層の研究』(講談社+α文庫)、『日本を救うC層の研究』(講談社)、『なぜ世界は不幸になったのか』(角川春樹事務所)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志・中野信子との共著『脳・戦争・ナショナリズム 近代的人間観の超克』(文春新書)など著書多数。