俳優としての活動の中で、大物役者や有名役者と共演する機会も多いという片桐仁さん。しかし自らが目指したい俳優像は、必ずしも特定の人物ではないといいます。

 

僕も何か、俳優としての「技」が身につけられれば

 すごく有名だったり、キャリアを積んでいる役者さんでも「人間なんだ」ってことが最近わかってきたんですよ。これ、実は僕にとって大きな発見で。
 2011年に『TIGER&BUNNY』というアニメで声優をやらせてもらったんですけど、主人公の鏑木・T・虎徹役の平田広明さんは『ONE PIECE』のサンジとかを担当している一流の声優さんで。すごく有名な人だけどセリフを間違えることだってあるんですね。ドラマや舞台の現場では何回も見てきていますけど、改めて大物と呼ばれる人のそういう場面に遭遇すると、「あ、平田広明さんも人間なんだ……!」って勝手にホッとしちゃう自分がいるんですよ。
 でも、お芝居の世界には“完璧超人”みたいな役者さんも実在していて。僕が共演したなかではともさかりえちゃんがそうかもしれないですね。おんなじ演技を何回もできる! あんな役者さん、見たことないですね。最初から「うまいなぁ」と思っていましたけど、「ここまで変わらないか!」とびっくりしますよ。
 ともさかりえちゃんと共演した、知り合いの俳優から聞いた話なんですけど、彼女が泣くシーンで演出家さんに「右から涙を流しますか? 左から流しますか?」って聞いたらしいんですよ! カメラの位置で泣き方を決めたかったらしいんですけど。自在に涙を流すことができる俳優さんはいるんでしょうけど、まさかそこまでとは……。役者も人間ですから、日によって体調が変化するし、いつもはできることができない時だってあるのに。これはもう、伝説ですよ! まぁ本人に聞いてないので、どこまで本当かは分かりませんが……。
 そんな彼女も普段は気遣いのできる人なんですよ。いいお母さんだし。でも、役を演じるとなるとスイッチが入るんでしょうね。
 ともさかりえちゃんみたいに、涙を自由にコントロールすることは全くできませんけど、僕もそういう技がひとつでも身につけられればいいな、とは思います。

 

明日の第五回の質問は「Q5.今、一番共演してみたい人はいますか?」です。