「糖質制限」をめぐる議論が単純化している

自分で血糖値をコントロールできれば医者いらず?―いや、「糖質制限」はそんなに単純ではない!

 いま話題の「糖質制限」。さまざまなメディアで健康特集やダイエット特集が組まれ、大きな話題となっている。糖質制限の是非や方法をめぐり、さまざまな議論が沸き起こっている。近年見られる、代表的な主張は次の通りだ。
●糖質は人類の敵! 食べなければ食べないほど健康になれる
●ゆるやかな糖質制限こそが日本人に適している
●糖質制限は実は危険! 寿命を縮めるもの
 そんな中、東京・銀座にクリニックをかまえる糖尿病専門医・牧田善二氏は、上記のどれにも属さない視点で「糖質制限」を語る。
 牧田氏は37年間、のべ20万人以上の患者を診てきた糖尿病治療の第一人者である。さらに、人体における化学的変化を学ぶ「生化学」を専門に、糖尿病合併症を引き起こす「AGE*」の研究を長年にわたって続けている。
 そんな牧田氏は、上記のように言い切ることのできるほど、「糖質制限」は単純なものではないという。
――「糖質制限は一種の医療行為」であり、当然、個人個人によって考え方も異なる。まず、その人が糖尿病を患っているか、患っていないかで考え方が変わってくる。糖尿病は非常に多くのリスクを抱える病気であるから、もし患っているならば専門医と患者さんが一体になり、さまざまな角度から検討する必要がある。
 このように指摘する。さらに、糖尿病を患っていない場合は、「糖質制限」のメカニズムや目的を正しく理解した上で、しかるべき人が取り組むべきであるという。さもなければ、かえって健康に悪影響を及ぼすリスクがあるからだ。
 「糖質の摂取量を抑えるだけで、やせることができる」。これだけ聞くと、どんな人でも、簡単に、取り組めるように思える。しかし、単純に聞こえる健康法ほど、その本質やメカニズムに対する正しい理解が必要なのだ。

*AGE……「Advanced Glycation End Products」の略。「終末糖化産物」と訳される。糖尿病合併症の真犯人。