サッカーの勝敗を決するもの、それは「ゴール」だ。
では「ゴール」に必要なものはなんなのか。戦術か、技術か、フォーメーションか……。
どれも大事な要素であるが、岩政大樹は可視化されない“あるもの”の重要性を指摘する。

外からの視点で見落としがちな内面性

 サッカーの試合を振り返るときには、ゴールのシーンが真っ先に思い浮かびます。サッカーにおける一点の重みはどんな時も大きく、ゴールはまさにその試合を決定づけるハイライトと言えるでしょう。
 

 

 一方で、僕たちは90分間の試合をしています。得点の確率を1%でも上げ、失点の確率を1%でも下げるために、90分間戦っています。その確率は、試合に相手が存在する限り、決して0%になることはありません。ゴールとは、90分間のあらゆる努力の結果に過ぎず、ゴールが生まれたシーンだけで、「あれが良かった」、「これが悪かった」と振り返っていては、その試合を正確に捉える事ができません。

 特に、外からサッカーの試合を見ていると、(実際、僕もそうなってしまうのですが)つい戦術やシステム、または個々のプレーなどにばかりに目が行き、「人がプレーしている」という当たり前のことを忘れ、人の内面の部分を置いてきぼりにしてしまいます。しかし、サッカーゲームではない僕たちの試合には、戦術や理論だけではない、感情や心理というものが含まれています。

 先日、自分の中で会心の試合がありました。それは3月に行われたJ2リーグ第2節、ジェフ千葉戦。ジェフは、今シーズン大量に選手を入れ替え、継続でチームを作っている僕たちファジアーノ岡山とは、別のアプローチで今シーズンを迎えていました。まだ2節だったので即席のようなチームかと思いきや、開幕前のプレシーズンマッチで鹿島アントラーズを下すなど、その試合まで練習試合を含め無敗をキープしていました。

 試合前、僕はロッカールームでいつものようにその日起こることを想像していました。僕のいつものルーティーンです。

 ジェフは相当な自信を持って乗り込んでくる。勝つことでまとまりも生まれているだろう。僕たちも昨年からの積み重ねに自信があり、充分対抗できる戦力を有していますが、開幕戦で引き分けていたので、勢いという面では少し分が悪いと思っていました。

 そこで、一つの想定として、もし前半の半ばを過ぎたあたりで相手がボールを保持する時間が長くなるようなら、少し相手を受ける時間を作ろうと考えました。そして、もし持ちこたえることができるとふんだ場合には、それをあえて、ハーフタイムまでは修正せずに後半を迎えようと思いました。

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