メディアでたびたび話題になる社会問題「ひきこもり」。つい最近も「大人のひきこもり」を題材としたある番組が報道倫理に欠けるとして問題になっている。
 その「ひきこもり」問題を約20年間追い続けてきている池上正樹氏が、5月10日に『ひきこもる女性たち』を上梓した。「ひきこもり」というと、男性のイメージが強くそんな女性が?と思う人も多いかもしれない。そんななかなか映像が結びつかない本書の特色を池上氏に聞いた。

――「ひきこもり」は男性のイメージが強いのですが、これは統計的にも男性が多いと立証されていますよね? なぜそこで女性にスポットをあてたのでしょうか?

「2010年に内閣府が行った「ひきこもり実態調査」を見ても、「ひきこもり」層における女性の比率は3割強にとどまります。他の自治体などで行なっている調査を見ても、女性は概ね2~3割前後と少ない。
 そしてメディアや事件で取り上げられてきた結果、一般的には「ひきこもり=男性」のイメージが強いですが、現場の声を聞けば同じような状況に苦しむ女性も数多く潜在しているとわかってきたからです」

助けを求めたくても、求められない人々が数多く潜在する。

――現場ではどのような方たちの声が多いのでしょうか。

「私の元に寄せられてくる当事者たちからのメールを分析すると、その内訳は、およそ半数が女性からのものです。
 その年代も、圧倒的多くは働き盛り世代の中年層で、家から出られない「閉じこもり」系から、社会との関係性を模索している経験者、今は社会と関わりのある「親和性」系の人たち。ひきこもらざるを得ない現状から抜けられなくなる課題も、本質的には男性とまったく変わらない。

“メールを送るのも怖くて、ずいぶん悩みました。でも、今の私には、誰とのつながりもありません。どうしたらひきこもりから抜け出せるのか、きっかけが欲しいと思い、勇気を出してメールをすることにしました。人間関係が苦手で、孤立しています。何とかしなければと思うのですが、どうしたらよいのかわからないのです”

 他にも同じような状況に置かれ、サポートを求めたくても声を上げられずにいる女性たちは少なくありません」

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