私たちは「無意識」のうちに

自分が生きることになる人生のストーリーを選択している

私たちは、知らず知らずのうちに、自分がそう生きることになる
人生のストーリーを無意識のうちに選んでいる。

この無意識のうちに選択している「人生ストーリー」を意識化し、
新たな人生ストーリーを「最選択」することで、人間は、はじめて真の「自分の人生」を生きることができるようになる。この考え方は、現在『嫌われる勇気』で大人気のアドラーの心理学と、アドラーの弟子で『夜と霧』の著者であるフランクルの心理学に共通するものである。

人生を幸福へ導く2つの心理学を、人気カウンセラーの諸富祥彦氏が解説する。

 

 

アルフレッド・アドラー

オーストリア出身の精神科医。(1895〜1897)

フロイトに師事したが破門され、独自の心理療法「個人心理学」を確立した。ウィーン第二学派。『嫌われる勇気』で取り上げられて話題に。

 

ヴィクトール・E・フランクル

オーストリアの精神科医。(1905~1997)

アドラーに師事したが破門され、生きる意味を提案する心理療法「ロゴセラピー」を確立した。ウィーン第三学派。ナチスの強制収容所から家族を失いながらも生還した体験を綴った『夜と霧』で知られる。

 

アドラー心理学とフランクル心理学の根本は同じところにあります。実はフランクルは、アドラーの弟子であり、破門されてしまったのですが、両者の考え方はとてもよく似ています。

両者の根本の共通点は、どんな人のどんな人生であれ、自分がこれまで生きてきた人生ストーリーを意識化し、「再選択」することで人生は変えられる、ということです。

人生は、自己選択の連続です。(Being is choosing)。

自分がどんな人生ストーリーを生きるかを、無自覚のうちに、いつの間にか選び取り、それに従って生きているのです。

そういう意味で、人生は「選択の連続」なのです。

人々は言葉でも知らず知らずのうちにある人生のストーリーを選びつつ生きているのです。

私たちが無意識のうちに選び取っている「ライフスタイル」は、大きく二つに分かれます。①一つは、「回避型」のライフスタイル。②二つ目は無防備型のライフスタイルです。

①の「回避型」のライフスタイルを選んでいる人は、なかなか人生を変えることができません。人を深いところで信頼することができず、一定以上親密になろうとすると、その人を拒否するようになってしまいます。たとえば、「結婚したい。結婚したい」と言いつつも、30過ぎ、40過ぎで結婚しない女性がいます。その「結婚できない」真の理由は、この無意識のライフストーリーにあります。自分でも、そのつもりがないのに、いつの間にか、一定以上親密になることやリスクを避けてしまうのです。②の無防備型のライフスタイルを選んでいる人は、相手が信頼できる人かどうか吟味せずに近寄りすぎてしまい、痛い目にあいます。また、すぐに冒険をおかして、人生がアップダウンの激しい、安定を欠いたものになりがちです。

自分がどのライフスタイルを無意識のうちに選択して生きているかを知ることは、自己の理解の最大のポイントです。

「自分が無意識のうちに選択しているライフスタイルを「意識化」する(無意識の意識化)。そして次に、今度は自覚的にどう生きるかを選び直す(再選択)。この「人生の再選択」こそが、私たちが自分の人生を変える最大のポイントであり、二つの心理学に共通することです。     

フランクルはこれを、「無意識の自我」と呼んでいます。

 

リスクを覚悟しないと、幸せはつかめない

「無意識に選択してきたライフスタイルの無意識化」――これが人生を生き直す上での第一な理(ことわり)です。自分がどんな人生をこれまで無意識のうちに選び取ってきたのかを、自分で意識化する必要があり、気づく必要があります。これも、アドラーとフランクルの共通している点です。