作家で哲学者の適菜収氏の新刊『死ぬ前に後悔しないための読書術』の発売を記念して、ネットニュース編集者で自称・郷土史研究家でIT小作農の中川淳一郎氏との居酒屋対談が実現。中川氏も6月上旬に『好きなように生きる下準備』を出版予定。この二人、対談は初顔合わせ。炎上覚悟で現代日本の大衆社会を批判しまくるのは、二人に共通するところ。もうひとつ。日本一「バカ」「ウンコ」と叫びまくり、炎上に油を注ぐところも共通項。平日の夕方、中川氏のホームグラウンドである渋谷駅近くの居酒屋「やまがた」に、適菜氏がすでに酒をひっかけ乗り込む形で対談は行なわれた!

中川淳一郎氏のホームグラウンド、渋谷の居酒屋「やまがた」にて。
「引用」と佐藤優の「知の巨人化」問題

中川 適菜さんの新刊『死ぬ前に後悔しない読書術』を読みました。これは優しい本だと思います。散々「バカだ」とか「くだらないやつだ」とか、罵倒しているのに、読者のためにすごく丁寧に引用してあげている。第四章の「引用が大事」の部分で、なぜ「私の本は引用が多いのか」と種明かしをされているんだけど、適菜さんの謙虚さや親切さが図らずも出てしまっている。

適菜 引用したほうが楽ですからね。

中川 いや、そうじゃないですよ。佐藤優さんの引用とは違うものになっていると思います。佐藤さんは、2ページの雑誌の連載でほぼ1ページは、新聞記事のコピペなんですよ。俺は「それはいかがなものか」と思う。要約ぐらいはしろよと。この本の中では適菜さんが佐藤さんをほめている箇所があったけど。適菜さんの引用は必要な引用なんですよ。

——今のご指摘は面白いですね。中川さんは、佐藤優さんに関しては「いつも引用をしすぎだろ」「それはちょっと読者に失礼じゃないか」と、よく怒っていますよね?

中川 そうなんですよ。彼はまともな作家だし、いいことを書くのに引用が多すぎるんですよ。引用だって、朝日と産経の両方から引用して、両論併記のようにふるまう。「これはちょっと、おい」と思うんですよ。記事の趣旨を80文字で説明できるところを、800字ぐらいでやっちゃうんですよ。佐藤さんは。それがね、すさまじい量なんですよ。おそらく、佐藤さんは「知の巨人」になりすぎて、編集部も指摘できなくなっているんじゃないですか。様々な大御所に対しても出版界隈って「まあまあしょうがないか」となってしまうのと同じで。大御所といえば、なんとなく名前は出てくると思いますが、こうした方々は一定数は売れるわけだから。編集部は本当は、佐藤さんに「引用を短くしてもらえませんか」とか「ギャラを半分にしていいですか」と言いたいと思う。それが言えないのは、「知の巨人化」の問題だと思う。

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