安倍自民党は今夏7月の参議院選挙に合わせた衆参ダブル選挙をまだ諦めていないらしい!?  いまや自民党の選挙戦略のお家芸ともなった「B層(※註)戦略」。そのあまりに露骨な実態とはどんなものなのか? 小泉の郵政選挙のときに広告マーケティング手法を用いた巧みな宣伝戦略が功を奏していたと話題になったその舞台裏を中川淳一郎が大暴露。作家で哲学者の適菜収氏はその自民党の選挙戦略の手口を徹底的に批判した——。

※B層…マスコミ報道に流されやすい「比較的」IQ(知能指数)の低い人たち。2005年9月の郵政選挙の際に、自民党が広告会社に作成させた企画書「郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略(案)」に登場する概念。「構造改革に肯定的でかつIQが低い層」「具体的なことはよくわからないが小泉純一郎のキャラクターを指示する層」をB層と規定していた(参考文献:『日本をダメにしたB層の研究』)

中川「オレは政治的主張はまったくないのと、選挙は人生一回しか行ったことがないんですよ。」たしかに。日々仕事や生活に追われている身としては、舛添や東国原が都知事選に立候補した時の選挙なんて、あまりにおぞましくて行く気すらしなかったからなあ…。

対談第3回

マーケティングとは大衆を動かしてお金を搾取すること!?

適菜 当時、中川さんはスリードの仕事の下請けなどをやりながら、自民党のやり方、つまり政治にマーケティングの手法を取り入れることについて、なにか感じたことはあったんですか?

中川 いや、オレは政治的主張はまったくないのと、選挙は人生一回しか行ったことがないんですよ。だから、何も考えていない。単に「郵政民営化がバラ色の未来をもたらすということを書いてくれ」と言われただけなんで。はいはいはい、書きますよと。それだけですよ。

適菜 なるほど。私がB層にこだわったのは、マーケティングは大衆の問題と切っても切り離せない。マーケティング的な発想が、ただお菓子を売るとか、アイスクリームを売るとかだけじゃなくて、文化全般に、挙句の果てには、政治にまでに組み込まれてしまっている。これはかなり危ないと。

中川 危ないですよねえ。

適菜 それを露骨にやったのが、小泉自民党のB層戦略なんですね。それで、ゲーテやニーチェ、三島由紀夫に絡めて、B層について書いていった。B層といっても、スリードがつくったマトリクスは古典的なものを焼きなおしたもので、社会学の定義でいう大衆、オルテガが定義したような大衆の、その中でも頭が悪い連中がB層です。そのB層を煽(あお)り、誘導するのがA層ですね。両者とも近代主義者です。

中川 それは正しい問題提起だと思います。自分の反省としては、その頃、「B層」というものをオレはそこまで知らなかったんですよ。スリードが来たとき。まさかこの社長がバカを誘導することをやろうと思ってテリー伊藤を使ったとか、これは知らなかった。あくまで編集をやる人間として呼ばれただけという認識だったんですよ。それでテリー伊藤と竹中平蔵の対談を文字にしたって感じなんですよ。

適菜 スリード作成のB層の企画書には、どうやって無知な人間を誘導して、B層に郵政民営化がプラスになると思わせるかという戦略が赤裸々に書いてある。マーケティング的なね。

中川 あの社長の名前。ちょっと覚えていないけど。こいつも博報堂的な企画書の書き方をよくわかっている人なんですよ。B層というのは露骨でしたね。今もマーケティングと政治的な流れは?

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