アドラー心理学に学ぶ「朝3つのテクニック」 
たったこれだけのことで、1日が明るく変化していく

 

 アドラー心理学の理論はいろいろな本に書かれていますが、さて、それを実践するにはどうしたらいいのか?
 長年、アドラー心理学を中心にカウンセリングに携わってき『自分を勇気づける アドラー心理学7つの知恵』(KKベストセラーズ)を上梓した岩井俊憲先生によれば、まずは朝起きたら次の3つだけを実践してほしいと言います。

 たとえば今朝のあなたの目覚めはいかがでしたか。すっきりと起きることができたでしょうか。それとも布団の中で時間ギリギリまでもぞもぞとしていたでしょうか。
 朝の思考や行動、習慣はその日一日を左右し、良くも悪くも大きな影響をもたらします。無意識に行っていることでも、それが毎日続いていたら、影響されるのは人生そのものであると言えます。
 「早起きは三文の徳」、「朝駆けの駄賃(朝早く走らせる馬は元気よく、少しくらいの荷物はなんとも思わないということ。たやすいことのたとえ)」、そして「朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり(朝に人がどう生きるべきかを悟ることができれば、夕方に死んだとしても後悔はないということ)」などと、私たち日本人は古来朝を大切に思う考え方を自然と持っています。

 ここではアドラー心理学が教える、自分を励ます、勇気づける生活を送るための、簡単だけれどとても重要な「朝の過ごし方」を紹介します。

その1 朝起きたら「爽快だ!」と口に出す

 まずは朝、起きるときです。この時に生きている実感をしっかり味わってみましょう。大きく伸びをして、「ああ、爽快だ!」と声に出してみる。
 たとえ爽快とはほど遠い朝でも、「爽快だ!」と口に出すことによって少しでも意識的に爽快に近づける。
 朝起きる、ということを、当たり前のことと取らずに一つの小さな奇跡として捉えるのです。
 目覚めて、これからの人生の初日を迎えられること一つでも小さな奇跡です。その当たり前に感謝し、生きている実感を味わい、「爽快だ!」と確認をする作業。大きく伸びをして一言口に出すのに十秒とかかりません。
 そして一発で起きる。目覚ましを止めてもう一度寝る、ということをしない。パッと起きることを自分で決めて、実行してみてください。

◆その2 自分にニッコリ微笑みかける

 次は洗面所です。顔を洗い、鏡を見て、自分に向かって微笑みかける。もちろん鏡の中のあなたも、あなたに微笑みを返す。
 笑顔は人間の自律神経のうち、リラックス効果をもたらす副交感神経を優位にします。副交感神経が優位になると呼吸のリズムもゆったりとし、脈拍や血圧が安定し、ストレスが解消される、という効果があります。
 実際に吉本興業の協力のもと、笑顔や笑いががん細胞を攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させるという研究発表がされたことは、以前にも大きな話題になりました。
 健康で長生きするために、仏頂面でいるよりも朝から笑顔を作り、それを保つのは、科学的にも根拠のあることなのです。

◆その3 「おはよう」「ありがとう」をおろそかにしない

 

 「おはよう」。

 「おはようございます」。

 あなたは毎日何人くらいの人とこの言葉を交わしているでしょうか。この「おはようございます」という言葉は、「さあ、今日一日をこれから共に始めましょう」というニュアンスを含む響きのよい言葉です。
 芸能界など一部の業界では、朝昼晩関係なく「おはようございます」が挨拶になっていますが、これはその日初めて会う人との挨拶として最も適していて、これから始めようという気持ちになれるから、という話を聞いたことがあります。
 ぼそぼそした声ではなく、元気のよい「おはようございます」から始まる1日は、何か難を逃れることが出来るような気がしませんか。
 もう一つ大切なのは「ありがとう」「ありがとうございます」という言葉です。「ありがとう」は漢字で書くと「有り難し」。「有る、ということが難しい」イコール「めったにない」ということです。めったにないことをしてもらった感謝の意が「ありがとう」という言葉には込められています。
 

 ここで一つ質問があります。あなたが両手に荷物を持っていたら、目の前の人がドアを押さえて待っていてくれました。あなたは「あ、すみません」と言いますか? それとも「あ、ありがとうございます」と言うでしょうか?
 ではもう一つ。あなたは足をけがしています。電車に乗ったら、目の前の人が席を譲ってくれました。その時は「すみません」「ありがとうございます」どちらを言うでしょうか。
 ここで「すみません」を使う方はとても多いと思います。しかし、もしあなたが相手に感謝の気持ちを表したいと思うのであれば、ぜひ「ありがとうございます」を使っていただきたいと思います。
 軽い謝罪や依頼の場合は「すみません」が適切ですが、感謝の気持ちは「ありがとう」のほうがより相手に伝わります。これは反対の立場になると、より実感できると思います。あなたが誰かにちょっとしたプレゼントをあげたとき、またはちょっとした手伝いをしてあげたとき、申し訳なさそうな顔で「本当にすみません」と言われるのと、笑顔で「本当にありがとう」と言われるのと、どちらが嬉しく感じ、「ああ、やってよかったな」と思うでしょうか
 「おはよう」「ありがとう」と言われて腹を立てる人はめったにいません。この二つの言葉の魔力は、あなたが思っている以上に強いと思ってください。

(1)「起き方」、(2)「鏡に笑顔」そして(3)「『おはよう』『ありがとう』の挨拶」

 朝、心がけていただきたいのはこの3つだけです。何も難しいことはないですね。では、ぜひ明日の朝から実践してみてください。
 くれぐれも、出来なかったとしても自分を責めないように。そして思ったとおりにできたら、自分に「ありがとう」の一言を。
 

 岩井先生によれば、朝、この3つを実践するだけで、多くの人がその変化に驚くと言います。たった、これだけのことですが、毎朝の習慣の積み重ねというのは、その人の人生を変えるに値する威力があるとも言います。
 まずは、アドラー心理学の威力を実感するために、試してみてはいかがでしょう。