五木寛之氏の最新刊『玄冬の門』から、「元気に老いる」ための7つのすすめ紹介する3回シリーズ。2回目の今日は、3「再学問のすすめ」、4「妄想のすすめ」、5「趣味としての養生のすすめ」の3つのすすめを、本書から抜粋してご紹介します。
著者の五木寛之氏(撮影・戸澤裕司)

3.再学問のすすめ

《高齢になって新しいことを学ぶというのもすごく大事なことです。
 私はいま『再学問のすすめ』という本を書こうとしているところです。福沢諭吉は、若い人たちに「学問をしろ。出世も何もすべて学問次第だ」と説いたけれども、私の「学問のすすめ」は高齢者のための「すすめ」です。つまり、人生を一回リセットして、全然違うことを勉強する。
 誰もが何かの職業に就いて生きてきたわけだけれど、それは子供のときから夢見た職業とは違ったかもしれない。そういう場合に、今度は長年親しんだ職業とは縁もゆかりもない分野のことを勉強してみるのです。例えば、考古学をやってみるとか、学校に聴講生として通ってみる。いまは社会人のための講座もたくさんありますから、そういうふうにもう一遍学問することはすごく大事だし、面白いことだと思いますね。
 (……)
 社会人のための特別講座とか、大学でも結構、年配の人たちが集まる授業がありますから、いくらでもチャンスはあります。学生の頃は、休講になると喜んでいたけれども、あとで勉強しだすと、休講になると本当に腹が立つのですね。勉強って、こんなに面白いものかと驚きました。五十過ぎて、先生が黒板に書いていろいろ話したりするのを聞くのは本当に感動する。ですから新入生のつもりでどこかへ学びに行くというのも一つの道ですよね。
 移動さえできれば、学ぶときは席に座るなりでいいわけだから、遊行期になってもできます。
 ですから、ある種の痴呆になって徘徊するというのではなくて、自主的に徘徊するというのが遊行期の大事なことだろうと思います。》