五木寛之氏の最新刊『玄冬の門』から、「元気に老いる」ために7つのすすめを紹介するシリーズ最終回の今日は、6「楽しみとしての宗教のすすめ」と7「単独死のすすめ」を、本書から抜粋してご紹介します。
著者の五木寛之氏(イラスト・小河原智子)

6.楽しみとしての宗教のすすめ

《宗教というのは、大袈裟に構えて、自分の信念を賭けてどうとかするなどと考える必要はありません。老後の楽しみの一つと思えばいいわけです。お寺に行ってみる、教会に行ってみる。あるいは、バイブルを読んでみる。般若心経の写経をしてみる。仏教の入門書を読んでみる。これは死と、生きるという「死生」に関することだから、非常に身近に感じられると思います。
 ですから、老後の楽しみの一つと思うぐらいの気持ちで、宗教に接する必要があると思いますね。人生において自分の心を切り換えるとか、大悟一番とか回心(えしん)とかの大袈裟なことじゃなくて、そういう好奇心で宗教に向き合うことも、私は良いことだと思います。もっとカジュアルに宗教に向き合ったほうがよい。深刻に向き合うから、カルト的なものに陥ってしまうわけです。「生きる知恵」と思って宗教に向き合う。
 いま全世界で伸びているのはイスラム教だけでしょう。ものすごい勢いで伸びていると言うけれども、あんなややこしい、一日に何度も座ったり立ったりして礼拝しなければいけないのに、よく伸びると思います。
 宗教というのは、いま大問題です。宗教を信じている人の数がものすごく増えつつある。宗教が、世界の動乱や戦争、政治的対立の根底に大きく関連しているということは、最近は佐藤優さんやいろいろな人たちが言っています。
 ですから私は、叱られるかもしれませんが、宗教とか、宗教について関心をもつということを、そんな大層なことと考えずに、俳句や川柳に関心をもつのと同じぐらいの気持ちで、そういうものと向き合ってみたらどうかと提案します。》