日本刀を知る手がかりは各部分の名称 

 日本刀入門の基本は、刀身と拵(刀装)の各部分の名称を覚えることだ。

日本刀は、鎬、棟、茎など、一般的に聞き覚えのない独特の専門用語が使われている。基本的な名称については、改めて紹介の機会を設けたい。ここでは、日本刀の魅力を探る手がかりになる、ということのみ記憶に留めておいてほしい。

日本刀の変遷 〜時代ごとに異なる特徴〜

 次に覚えておきたいのは日本刀の変遷である。

 日本刀は平安、鎌倉、室町、桃山、江戸時代……と、作風には時代的な特色が現れている。いつの時代に造られたかを知ることで、日本刀を鑑賞するポイントとなるはずだ。
 まずは刀剣の時代区分を解説しよう。  

 「刀剣」とは太刀・刀・脇差・短刀・剣の総称である。刀剣は作刀された時代によって上古刀、古刀、新刀、新々刀、現代刀に分類される。  
 「上古刀」は、平安時代前期以前の古代期に造られたもの。これらは反りがなく、まっすぐな直刀が特徴。斬ることより刺撃が主目的であったと考えられている。
 また、「太刀」は、長さ約60センチ(2尺)以上で、刃を下に向けて腰に佩く(帯びる)形式のものを指し、平安前期までの上古刀は「大刀」と書いて区別されている。 平安時代中期から後期になると武家の勢いが盛んになり、日本独自の刀剣製作技術が生まれ、より実践的な形態を求めて、刀身に反りがつけられた彎刀(わんとう)が登場する。この時代から慶長元年(1596)までに作刀されたものは「古刀」と分類される。日本刀とは彎刀のことを指している。  

鎌倉時代には各地に名工が出現

 刀剣制作がますます盛んになった平安時代後期から鎌倉時代には各地に名工が出現。三条宗近や正恒、粟田口吉光、来国光など多数の刀工が世に出た。      室町時代になると、それまでの騎馬による一騎打ちの戦闘が減り、集団で密集隊形となる交戦が増えてくる。すると接近戦が主となり、その需要に応じて、「相手より先に刀を抜いて倒す」ために刃を上に向けて腰に差す形式のものが使用されるようになる。これを「打刀」(あるいは刀)と呼ぶ。太刀と打刀はどちらも定義は約60センチ以上(2尺)で、異なる点は刃先の向き。室町時代から現代のものは打刀である。  

   慶長元年から江戸時代の文化・文政(1804〜1829)頃まで作刀されたものを「新刀」と呼ぶ。
 それまでとは異なる作風が登場し、一般に反りが浅い様式が主流となった。その後、文化・文政年間より明治9年(1876)の廃刀令までの作刀を新々刀、廃刀令以後の作刀を現代刀と呼んでいる。  
    刀装で見ると華麗な意匠は、江戸時代になってからの作品に多い。