安倍首相しかり、安倍政権を支持している新聞や雑誌、論壇人は自分たちのことを「保守」だと語るが、それは本当なのか?

ひとりひとり名前を挙げて「自称保守」を語り、保守を気取る偽物文化人を片っ端からぶった斬っていきたいが、まずは「自称保守」や「ネトウヨ保守」がいかにインチキ極まりない奴らなのかを教えたい。

ならば本当の「保守」とはいったい何なのか?

適菜収と中川淳一郎の居酒屋対談。ネトウヨを容赦なく叩きまくるふたりに、「保守」とは何かを問う。

安倍首相をあからさまに支持しているのが産経新聞や、そこに登場する論壇人たち。自分のことを小林秀雄の再来と語らせてしまう恥も外聞もない物書きがいるのは本当に悲しい。

 

三島由紀夫と大江健三郎を評価する理由

中川 三島由紀夫と大江健三郎の両方を適菜さんは評価されているわけじゃないですか。そこを解説してもらえますか?

適菜 三島は世の中で誤解されているようなエキセントリックな右翼でもなんでもなくて、素朴な保守主義者なんですね。それについては、『ミシマの警告』(講談社+α新書)で説明しておきました。大江健三郎はなんというか強烈な思い込みをもった人間ですけど、小説を書くのにかならずしも常識人である必要はない。大江健三郎はお花畑系の平和論を唱えたりするので、世の中の人は単純な左翼だと思っているかもしれませんが、相当暴力的で毒のある人物ですよ。やっぱりあの人は本質的な小説家なんじゃないかなと気がします。

中川 適菜さんは、例えば、オレの印象だと、両派から敵認定されると思うんですよ。ネトウヨからも極左からも。しばき隊からもたぶん嫌われると思いますけど。どういうスタンスだとご自身のことを思いますか?

適菜 そこはあまり気にしていないんですよ。あまり接点もないし。『ミシマの警告』にも書いたんですけど、私が一番シンパシーを感じるのは保守主義なんです。保守主義とはいうものの、主義ではなくてむしろ主義を疑う姿勢です。

中川 それは合理主義にいきつきませんかね。

適菜 いや、合理を疑う姿勢です。合理だけで判断してはまずいと。

中川 適菜さんはバカは切り捨てろとか、鮨屋で符丁をつかう客はバカだとか、それってすごくまともな話だと思うんですよ。

適菜 保守の根本にあるのは常識なんですよ。

中川 保守が今、ネットだとバカになっちゃっているじゃないですか。

適菜 あれは自称保守やネトウヨです。安倍政権を支持する新聞や雑誌、論壇人を、私は保守だと思っていない。イデオロギーや理念により急速に世の中を変えようという動きが出てきたときに、常識に立ち戻りましょうというのが、本来の保守です。

中川 じゃあ例えば、鎌倉時代の前期の保守はどんな人だったんですかね?

適菜 保守主義は近代に発生しているんです。というか、近代理念のアンチテーゼですから。常識は常識なんだから、本当ならあえて唱えるようなものではない。しかし、近代革命によりあまりに非常識な改革が進められるようになったので、あえて保守を名乗らなくてはならないような状況になってしまった。

中川 そういうことなんですね。