「報道しない自由」を持つ、日本のテレビ局に「言論の自由」はあるのか?

公開討論「テレビと放送法~何が争点か~」見聞録

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 テレビの報道は公正か、否か

  本日(2016.6.16)内幸町の「日本記者クラブ」で開催された公開討論「テレビ報道と放送法~何が争点か」に潜入してきた。これは、高市大臣のいわゆる「電波停止」発言や報道の在り方などが取り沙汰されている昨今、いったいなにが争点になっているのか-異なる意見を持つ立場の言論人が討論するという趣旨で開催されたものだ。

 ◆登壇者
 <放送メディアの自由と自律を考える研究者有志>
 砂川 浩慶氏(立教大学教授/メディア総合研究所所長)
 岩崎 貞明(放送レポート編集長)
 醍醐 聰(東京大学名誉教授)
 

 <放送法遵守を求める視聴者の会>
 小川 榮太郎(文藝評論家、放送法遵守を求める視聴者の会事務局長)
 上念 司(経済評論家、放送法遵守を求める視聴者の会 呼びかけ人)
 ケント・ギルバート(米カルフォルニア州  弁護士、タレント、放送法遵守 を求 める視聴者の会 呼びかけ人)

 
 まず、「視聴者の会」事務局長・小川榮太郎氏が、「放送法(第4条)」について簡単に説明したあと、2013年の「特別秘密保護法案」、昨年2015年の「安保法制」時にテレビ各局がこのテーマについて両論をきちんと放送したかを、「時間比較」したデータを発表した。そのデータによると「特別秘密保護法案」時には、「賛成」の報道が26%、「反対」の報道が74%、「安保法制」時には、「賛成」の報道が89%、「反対」の報道が11%だったという。これでは、視聴者(国民)に一方的な意見しか提供していないのではないか、賛成側の意見(「なぜこの法案が必要なのか?」「どうゆう国際情勢の変化で、この法案がつくられたのか?など)が視聴者(国民)に伝えられなくては、判断のしようがないのではないか、と小川氏は発言した。
 
 
 <テレビ報道検証の図表>

 
 これに対し、「研究者有志の会」の醍醐聰は、重要なのは「賛否バランス」ではなく、情報の「質」と充実した「調査報道」が要である。だから、単に「賛成」「反対」の時間を計っても意味がないという。
 たしかに、醍醐氏の指摘どおり、テレビ局にはもっと報道の「質」を高めてもらいたい。異存はない。しかし残念ながら、現在のテレビの報道番組には「質」を高める以前の問題がある。明らかな「誤報」「捏造」「歪曲」、もっと言えば「洗脳」的な報道が蔓延っていることだ。この異様な状態に多くの国民がなんとなく気付いているし、これが「テレビへの不信感」、端的に言えば「テレビ離れ」につながっている。東大の先生には、この庶民の「肌感覚」がわからないらしい。いや、「視聴者の会」のデータを信じるなら、これは「肌感覚」ではなく、「事実」である。全テレビ局が9割の時間を使って「安保法制」を批判した。「9対1は気持ち悪い。6対4、せめて7対3の割合いで賛成・反対の意見が聞きたい」―と視聴者が思うのは自然なことではないだろうか。
 
 そのあとに、「研究者有志の会」の砂川氏と岩崎氏が「憲法と放送法」「表現の自由」などについて発言。「視聴者の会」の上念氏とケント・ギルバート氏は「業界団体アライブ」「GHQのウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」などについてそれぞれ見解を述べた。
 

 テレビは権力か、否か

「ジャーナリズムの使命は権力の監視である」「マスコミは第4の権力である」この、よく聞くふたつの言葉は、矛盾している。矛盾というか、マスコミが「権力」であるならば、そのマスコミは誰が監視するのか、という問題がある。監視団体のBPOは果たして機能しているのか―。そろそろ考えるべきときに来ている。

 テレビをはじめ、マスコミは、自身が「監視される」ことを嫌う。それは「言論の自由への挑戦」「民主主義への挑戦」だと言う。―今のテレビにそう言う資格があるのか? 公開討論を聞きながら、感じたことである。

 

 
 

 

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上杉 光太郎うえすぎ こうたろう
  

著述家。現在、近現代史、憲法、宗教、マスメディアをテーマに執筆中。

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