2015年に入社した新入社員に「仕事」と「プライベート」どちらを優先するか、を調査したところ「プライベート」と回答した人が53.3%で、「仕事」と答えた人の45.1%を上回った。(就職情報サイト「マイナビ」調査)

また、新入社員に限らず企業の中堅を担う30代40代以上の会社員の多くもいまや「仕事」よりも「プライベート」を重視する傾向が強くなってきていると、大手企業人事部の社員も語っている。

いまや世の中の企業や社員は、構造的にも今までのやり方が立ち行かなくなっているのだ。

「自分にとって幸せとは何か?」

こんな時代だからこそ、誰かに頼るのではなく自分で何を選び取るべきなのかの価値判断が迫られているわけだ。

前回につづき、『中川淳一郎×適菜収 炎上覚悟の居酒屋放談』から、「自分の価値判断をもつためのヒント」を見いだしてみたい——。

 

文章を「攻撃的過ぎる……」と言われて……

中川 オレはこのまえ家に帰って、「お前の文章は攻撃的すぎる」と言われたんです。「それでなんだ!」と怒ってきたんです。

適菜 それは父親ですか?

中川 はい。つーか、オレはこの攻撃的な文章で物書きとして、生きながらえてきたのに、「お前は何言ってるんだ」と。

適菜 中川さんがものを書く根拠は「生きながらえる」とか、そういうところにあるんですか? なにかもっと別にあるんですか?

中川 単に需要のある文章を書くことしかオレは考えていません。だから、オレはすごく商業的なんです。

適菜 怒りの根拠みたいなものがあるんじゃないですか?

中川 怒りは、まさに「コメンテーター消えろ」なんですよ。本音じゃないことを言っているやつは本当にくだらないと。こんなことを言っていて、なんでお前は金を稼いでいるんだとオレはすごく思うんですよ。

適菜 本気で腹を立てるなら何かあるはずなんですよ。

中川 そう。オレは「本気じゃないことを言っているヤツは消えろ」と思うから、本気で書いているんですよ。その本気で書いていることに対して、うちの親が言ってきたから、今絶縁状態になりつつあるんです。

適菜 でも可哀想じゃないですか。親なんて、物書いている人間のことは、なにもわからないですよ。

中川 父親は真面目にサラリーマンをやってきた人間だから、オレの常識とは違う。でも、知るかって感じですよ。攻撃的すぎるのがオレの物書きとしての価値だろと思うわけですよ。

適菜 中川さんが攻撃的になるのは、欺瞞や偽善が許せないからだと。

中川 そう。それは嫌い。適菜さんも仰ったとおり。

適菜 それはいつぐらいからそのように思うようになったんですか?

中川 博報堂に入ってからですね。テレビの番組ではキレイ事しか言わないコメンテーターが重宝されるわけじゃないですか。商品の紹介広告だって、キレイ事ばかりじゃないですか。博報堂に入って、世の中のそういうものがより見えるようになった。それはおかしいんじゃないかと。

適菜 それがはっきりしたんですね。

中川 世の中はキレイ事だらけだと。もう死ねと思いましたね。こんなところにいられるかと思ったのも、辞めた理由の一つです。

適菜 広告代理店的な発想に嫌気がさしたと。

中川 たぶんサラリーマン全般でしょうね。キレイ事をちゃんと言わないといけないとか。これはもう薄汚いなと思って。オレはもうキレイ事を言うのが嫌で。博報堂的、電通的なものが嫌だったんですよ。

適菜 私も大嫌いです。