「刀剣女子」なんて言葉も生まれるほど、注目を集めている日本刀。
由緒ある日本刀や国宝級の名刀を見る機会も増えてきた。日本刀を鑑賞する上での初歩的な見方は、古刀と新刀を大別することからだという。展覧会などで名刀を見る時に、知っておきたい鑑賞のポイントを紹介する。
 

その一、姿や反りを見る

 日本刀鑑賞の本来の醍醐味は、実際に手にとり、良好な照明のもとでさまざまな角度から眺めること。刀剣美術の世界は繊細な感性や観察が必要なので、間近でよく眺めてみないと、その特徴や作風を確認できないことが多い。だが、一般的にはガラス越しに展示品を鑑賞することになる。そこで鑑賞ポイントは、まず拵(刀装)を含めた日本刀全体の形姿を確認すること。特に反りの深さは時代的特色が顕著に現れているのでわかりやすい。反りの深い古刀は、刀身が美しい曲線を描き、強靭さを宿す。反りの浅い新刀は、切れ味が鋭く冷徹さを感じさせるだろう。一方拵を見ると、江戸時代に作刀された新々刀になるにつれ、拵が優雅で芸術的なものが多い。


その二、展示の仕方から昔の姿を想像する

 日本刀の展示方法には原則があり、地面と平行にして展示する場合、刀身の先端を右側に向けて置く。その際、日本刀の特徴に応じて刃を下向きと、上向きに区別して並べている。刃先を下に向けているのは「太刀」である。太刀は刃先を下にして腰に佩く(帯びる)形式のもの。平安時代後期から室町時代初期までの作刀に多く見られる。刃が上に向いていたら「打刀(刀)」。刃を上にして腰に差す様式で、室町時代から現代に作刀された。これらには作者銘が刻まれたものも多く、原則として刀身の「表」(体の外側に向く方)に刻まれている。表銘を展示側に向けるため、このような展示方法となる。ただし、例外もあるので目安として覚えておこう。

その三、銘を見る

 刀身の柄に収まる部分にあたる茎に、刀工が作者名を明確にするため、あるいは作刀が完成した感慨をこめて銘を刻んでいる刀が多く残っている。刀剣用語では、これを「銘を切る」という。刀の表(刀を腰に差したとき、体の外側に向く方)に刻んだ銘を「表銘」。裏に刻んだものを「裏銘」と呼ぶ。
 刻まれた銘には、さまざまなものがある。代表的なものが作者名を刻んだ「作者銘」。作者の居住地や刀の製作をした地名を刻んだ「居住地銘」。地方官の官職名を朝廷から受領された刀工が、たとえば越前守など、その官名を刻んだ「受領銘」。この官名は名目上のもので実際に任官したわけではなく、職人の身分を高めるために用いられた。このほか製作年号を刻んだ「紀年銘」や、所持者の名称を刻んだ「所持銘」、注文者の名称を刻んだ「注文銘」などがある。「紀年銘」と「注文銘」は原則として裏銘に刻まれている。銘が刻まれた刀剣には、刀工の愛着が込められており、刻まれた文字を手掛かりにして、作者の人柄や個性を想像するのは、刀剣鑑賞の醍醐味の一つといえるだろう。