切る、加熱でさらに薬効が高まるニンニクのチカラ
 

6000年前から、エジプト、インド、中国など古代文明発祥の地で、薬用として重宝されていたニンニク。その効能・効果は幅広く、日本でも“元気が出る食べ物〟として、古くからさまざまな民間療法に利用されてきた。

免疫力を高める抗がん効果がトップレベルとして一躍脚光を浴びたのは、1990年にアメリカの国立がん研究所が発表した「デザイナーフーズ計画」だ。がんを予防する効果の高い食品40種類で構成されるフードピラミッドの頂点に、ニンニクが選ばれた。

ニンニクの効用について、がんの免疫療法に携わるプルミエールクリニック院長の星野泰三さんはこう語る。

「調べてみると、ニンニクの効用のほとんどが、アリインという成分によることがわかりました。ニンニクを切ったり、擂りおろしたりするとアリインがアリシンというファイトケミカル(植物の色や香りに含まれる有効成分)に変化し、私たちに多くの効果や効能をもたらしてくれます」

アリシンは、空気や熱、その他の物質の影響で、さらに〝アリシンの七変化〟と言われるほどさまざまなイオウ化合物に変化する。それが、ニンニクの効能の多様性を生むのだ。例えばアリシンが変化したS−アリルシステインやジアリルスルフィドは、発がん性物質を減少させる効能やがん細胞の増殖を防ぐ効果が報告されており、胃がんと大腸がんの予防が期待できる。

さらにここで注目したいのは、ニンニクと腸内環境との関係だ。

「食中毒の予防にも役立つほど強いアリシンの殺菌・解毒作用は、腸内フローラにも影響を与え、ウェルシュ菌などの悪玉菌を減らし、善玉菌の比率を高めて腸の調子をよくします。腸内細菌のバランスを整えるので、便秘や下痢を改善する効果があるんですね。また、アリシンには、胃の粘膜を刺激して胃腸の働きを活発にし、消化を促進したり、消化不良を改善したりする働きもあります」

ただし生のニンニクは、非常に刺激が強く、食べ過ぎると胃を痛めて、腸内の善玉菌まで殺してしまう可能性があるため注意が必要だとか。できれば加熱してから食べることを勧めたい。

星野さんが推奨するのは、薬効の高い熟成ニンニクだ。

「生のニンニクを高温・多湿の環境で約1カ月ほど熟成させて作られたもので、ニンニクに含まれる糖分とアミノ化合物がメイラード反応を起こして黒くなります。黒ニンニクとも呼ばれ、熟成することで匂いがなくなり、非常にまろやかでおいしくなるんですね。普通のニンニクと比べて、有効成分のS−アリルシステインが8〜16倍に増えるほか、ポリフェノールやアミノ酸も増加し、抗がん効果をはじめ腸内改善、疲労回復、血液サラサラ、消化促進など、ほとんどの効能が大幅にアップします。私も、毎日3片食べるようにしたら、疲れにくくなりました」

腸内環境を整え、がん予防効果の高いニンニクは、もっと積極的に毎日の食事に取り入れたい食品だ。食物繊維も豊富なので、ぜひ発酵食品と組み合わせた食べ方も工夫してみたい。