アメリカ側は山本長官の行動予定を知ると、彼をどうするかについて短いが徹底した討論を行った。アメリカは過去に、敵の総司令官レベルの要人を暗殺または謀殺したことがなかったからだ。加えて、山本を「排除」すればより優れた人材が後任になるのではないかという懸念と、暗号解読の事実を日本側に知られてしまうのではないかという心配もあった。さらに、敵ではあるがその最上位に位置する要人を殺害することの倫理上の判断の問題も生じた。

 結果、フランクリン・ルーズベルト大統領、フランク・ノックス海軍長官、太平洋方面司令長官チェスター・ニミッツ海軍大将ら錚々たるメンバーがそれぞれ熟考熟慮の末、最終的に「蒼空の暗殺作戦」の実施が認められた。そして南太平洋方面司令官ウィリアム・ハルゼー海軍中将を経て、ソロモン陸海軍連合航空群司令官マーク・ミッチャー海軍少将へと作戦の実行が命じられたのである。