歴史的著名人の所有した名刀

〝トーハク〟の愛称で知られる東京国立博物館は、明治5年(1872)に湯島聖堂で開催された博覧会を始まりとする日本最古の博物館。日本を中心にした東洋のさまざまな国や文化の美術作品、歴史資料、考古遺物などを所蔵している。刀剣は主に本館で展示しており、期間ごとに展示品を差し替えているので、一年を通して異なる名刀と出逢える。
 今回は、同館が所蔵している歴史上の著名人所有したとされる名刀 を紹介しよう。

源頼政肖像画。国立国会図書館蔵

源頼政が所用した名刀「獅子王」

 「獅子王」は、平安時代末期の武将、源頼政の所用と伝えられる。獅子王と頼政には、こんな逸話が伝えられている。
 当時、時の天皇は不思議な病を患った。これは鵺(ぬえ)という怪物の仕業であることがわかり、勅命で弓矢の名手である頼政が妖怪退治に指名される。そして深夜、暗闇の空に現れたのは、頭は猿、背は虎、尾は狐、足は狸、声は鶫という大変な怪物だった。頼政が弓で射落とすと、天皇の病はたちまち快癒した。その恩賞として賜ったのが獅子王と伝えられている。

「三日月宗近」「助真」の作者とは…

 「三日月宗近」の作者である宗近は、平安時代中期、京都の三条に住んでいたことから三条小鍛冶の名で知られ、日本刀(彎刀)が誕生した平安時代を代表する名工として有名。刃文に三日月の形が見えるので「三日月宗近」と呼ばれた。
「助真」の作者の助真は、備前国(岡山県東南部)福岡に居住した一文字派(通称・福岡一文字派)の刀工で、鎌倉時代中期に活躍した。のちに鎌倉幕府に招かれて移住し、鎌倉鍛冶の開拓者となった一人。備前の刀工集団の特色は匂出来(焼き入りでできる刃文の粒子が肉眼で捉えられないほど細かいようす)だが、助真は沸(刃文をつくる、目に見える輝く粒子)が他の備前国の刀工よりも目立つ。助真の特色を示す代表作として知られる。