近年では水道水を飲まない人も増えたが、腸に対する効力や影響を理解したうえで、水を選んでいる人はどれくらいいるだろうか。腸と免疫の専門家に10年後の健康に差がつく水の飲み方をうかがった。
ゴクゴクではなくチビチビノドが乾く前に飲む
 

 

「腸は健康の源の臓器。それは腸が人体最大の免疫器官だからです。その腸が働くために必要なのが水です」

そう語るのは東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎さん。免疫の専門家で、腸の働きを研究している藤田さんは、腸にとって水がどのように関わっているのか、次のように解説する。

「よい水を飲んでいると腸の働きが活発になり、免疫力が向上します。下痢や便秘なども改善されて腸内環境が整い、腸はどんどん丈夫になります。ところが体によくない水を飲んでいると免疫力は低下します。免疫は体を老化や病気から守る力。これが低下すると、その影響は全身に及びます」

人間の体の半分以上は水が占めており、体温調整や代謝、消化吸収など、人体の生命維持にかかわるあらゆる働きを行っている。

「私も水へのこだわりを以前より深めたおかげで、20年前より髪もフサフサになり、心身にエネルギーがみなぎっています」

人間は、汗や大小の便、呼気などで、1日に約2・5リットルの水を排出している。一般的な食事をとっていれば、1リットル分程度の水分を取り込むことができるが、足りない分は補わなければいけない。

では、どんな水を飲むべきか。

「水を購入する場合、ラベルを確認してください。体によい水とは品名に〝ナチュラルミネラルウォーター〟と記載されているものです」

農林水産省の品質表示ガイドラインによれば、ナチュラルミネラルウォーターとは、特定の水源から採水された地下水を原水とし、地層中のミネラルが溶け出している水のことを指す。

「水の健康作用を決めるのは、この天然のミネラルにあります。もうひとつ、天然水を選ぶうえで必要なのは非加熱と記載されているものです。加熱殺菌すると水の組成が変わり、生理活性が失われます。非加熱の天然水こそ、腸を元気にする水だと覚えておいてください」

こうした基礎を踏まえ、自分の体調にあった水を見つけることが水飲み健康法を長続きさせる秘訣だという。

「これだと思ったら、3週間続けて飲みましょう。なかにはまずいと感じることもあるかもしれません。でも体が欲する水ならば数日でおいしいと思うようになります。そうなれば自分にあった水だと判断できます。いつまでもまずいなら別の水を探しましょう」

とはいえ、水が健康によいからと言って、飲みすぎはNG。アメリカでは大量の水を一気に飲んで亡くなった事件もある。

「コップ半杯から1杯ずつ、チビチビと飲むことが大切です。こうすれば水をゆっくりと体に浸透させることができます。ペットボトルなら2、3口ずつが目安です」。

たかが水、されど水。水飲み健康法に即効性はない。長く続けることが大切だ。藤田さんの観察によると、水に無頓着の人は年齢より老けて見えるという。普段の心掛けと、地道な積み重ねが、健康や若返りに繋がるのだ。

腸力がアップする水の飲み方5つのポイント
①起床時/就寝中に出た水分を補給
寝ている間に呼気や汗などで水分が出て、朝は脱水症状に近い。
②午前/常に体に水分を浸透させる
ノドが渇く前にチビチビと飲むのが理想的。
③午後/がぶ飲みに注意
一度にたくさん飲まず、コップ1杯分を数回に分けて飲む。
④入浴前/失われる水分を事前に補給
入浴で水分が汗として排出されるので、事前に水分補給を。
⑤就寝時/血液ドロドロを回避する水
睡眠中は汗をかく。水を飲まずに寝ると、血液はドロドロに。