横浜発着のクルーズ旅に初乗船!日本生まれの豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」で過ごした6日間の体験を報告する。
船内では、舞台や落語の上演などもある。

朝から夜までイベント尽くし

 豪華客船のクルーズを体験して、あえて例えるなら“移動する高級リゾートホテル”である。南国の5つ星と評価されている高級リゾートホテルに何度か宿泊したことはあるが、ビーチがないことを除けば、ダイヤモンド・プリンセスには同等かそれ以上の設備がそろっている。
 それだけでも利用価値は高いのだが、高級リゾートホテルと大きく異なると感じたのは開催されるイベントの数。圧倒的にクルーズのほうが多いのだ。不特定多数(少数)の乗客が参加するイベントは、イベントそのものを楽しむだけでなく、乗客同士のコミュニケーションも生まれる。クルーズならではの醍醐味といってもいいだろう。

 船内イベントは、毎晩、客室に配られる船内新聞でチェック。新聞を広げると翌日に開催されるイベントの予定表が掲載されている。
 朝7時のラジオ体操から始まり、ダンス教室、カルチャースクール、クイズ大会、カラオケ大会、プロダクションショーと、深夜までイベントが盛りだくさん。数えてみると50以上のイベントが開催されていた。どの時間帯でもどこかでイベントをやっているのだ。
 船上という限られた空間で、乗客をいかに楽しませるか。そんな船側のホスピタリティの意識の高さを実感した。朝食を摂りながら船内新聞を広げ、談笑する夫婦や団体をよく見かけた。今日は何をしようか。そんな会話が聞こえてきそうだった。

グラスタワーが華やかな、キャプテン主催のウェルカム・パーティー。

 イベントで心に残ったのは、アトリウムで行われたウェルカム・パーティーだ。この日はドレスコードがフォーマルであり、誰もがドレスアップしていた。振る舞われるドリンクやチョコレートポップ、キャプテンの挨拶。立食スタイルのパーティーが続くなか、目を奪われるのは参加者たちの明るい表情。なかでも女性たちが高揚しているように感じた。
 シャンパンを片手に手を繋ぐ老夫婦。高齢のご婦人を囲んで親子三世代の婦女子で記念撮影する家族。ガラスや壁に映る自分を見て、何度も身だしなみを整える老齢のご婦人。誰もが乙女のようであり、青年であり、そして美しかった。

 正直なところ、航海中にフォーマルのドレスコードがあることを知ったときは、やや面倒だと思った。スーツやシャツ、靴を用意するだけで荷物にもなるし、堅苦しい場面も苦手だった。そんなネガティブな心境も参加してみると一変した。
 これは女性がとびっきりのおしゃれを楽しむイベント。男はそのサポート役なのだ。パーティーが終わるころには、老齢の母親や自分のパートナーの顔が浮かび、今度はぜひ連れてきてあげたいと、少し感傷的な気分になった。

 さまざま感動と興奮を体感したクルーズ初体験。本来、旅とはよその土地に行くことで、乗り物はその移動手段である。クルーズはその認識を覆すものだった。旅の目的は船に乗ること。移動先の寄港地は船のイベントのひとつ。そんな新しい旅の形を知ることができた。
 乗客は時間に余裕のあるシニア層が多かったが、時間に追われる働き盛りの世代も、もっと知ってほしいし、利用してほしいと感じた。クルーズ料金はそれほど高くない、あとは日程だ。家族や恋人、そして自分のために無理をしてでも時間を空ける。それだけの価値がある旅だと思う。