腸が健康的に働いているかどうかは、睡眠によって左右される。「体の不調を治したい」「若返りたい」と思うのであれば、腸のリズムに合わせた規則正しい生活習慣を覚え、安らぎの睡眠を得よう。
まずは朝日と朝食で「腸のリズム」を整える

腸の働きは自律神経と連動している。自律神経には、昼間の活動中に優位に働く交感神経と、夜間、睡眠中に優位になる副交感神経がある。多くの臓器は夜間になると働きをやわらげるが、腸は副交感神経が優位になると活発に働くようになる。

「腸は生命の源となる重要な仕事を担っている臓器です。夜間になると免疫力の増進をはじめ、ビタミンの合成、解毒、脳内ホルモン、うつ病や自律神経の失調症の予防、がんの予防改善など、忙しく働いており、老化しやすい臓器とも言われています。健全な腸を維持するには健全な睡眠が必要です」と話すのは、東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎さん。

では、健全な睡眠を得るためには、どうしたらよいのか。

「まずは体内時計を正確に回します」

人間の体は地球の自転周期に呼応して動いており、その生体リズムをコントロールしているのが体内時計だ。

「人間は24時間11分というリズムで動いています。地球上で生きていくためには11分というズレを毎日リセットしなければいけません」

このリセットの役目を果たすのが体内時計だという。

「朝、起きたらカーテンを開けて、全身で光を浴びましょう。そうすることで体内時計の働きにより、11分のズレが解消され、自転周期に合わせることができます。朝日を浴びないとズレを解消することができません」

体内時計のリセットは、腸にとって夜間の仕事から昼間の仕事へと切り替わるリセットスイッチで、これで新しい1日が始まる。また、朝日を浴びるとメラトニンの分泌が抑えられる。

「メラトニンは眠りに誘うための脳内ホルモン。朝日を浴びると分泌が抑えられ、その後15時間後に再び分泌が盛んになります。分泌量が増えると眠気を感じ、自然な入眠が促されます」

体内時計をリセットしたら、次は腹時計のリズムを整える。

「体内時計を整えるには、腹時計を正常に働かせることが不可欠です。そのためには1日3回の食事を決まった時間にすることが重要です。食事は体内時計のズレをリセットするという役割もあります。なかでも、1日の始まりである朝食はとても大切です」

こうした腸のリズムに合わせた習慣が身についてくると、食事の時間になるとお腹がすくようになり、規則正しいメラトニン分泌のリズムを作り、夜になると自然と眠くなる。

「まず起きたい時間を決める方が先です。起きてから腸のリズムに合わせて規則正しい生活を送ると、夜になると眠気が強くなります。そして、どうしても眠いというとき。その時間が自分の最適な就寝時間です。そうすると睡眠時間もおのずと決まりますよね」

腸は夜間に病気と闘っている。「病気になる睡眠」になるか。「病気を治す睡眠」になるか、すべては腸の時間割にのっとった毎日を送っているかにかかっている。

腸のリズムを整えるための3つのPOINT
POINT1
太陽の光と朝食で体内時計をしっかりリセット。
POINT2
食事の間は3時間は空けて、腸を休ませる。
POINT3
夜はリラックスして充分な睡眠をとり、腸が仕事ができる環境を整える