古代ギリシャ人も催した<響宴>が七夕の夜に東京で

七夕の夜に宴を催した”古代ギリシャ人”たち。左から3人目の黒い服装が藤村シシンさん。

 「古代ギリシャ ナイトミュージアム」が7月7日(木曜日)夜に、東京国立博物館平成館大講堂(東京都台東区上野公園13-9)で催された。作家で古代ギリシャ研究家の藤村シシンさん、東京国立博物館考古室長の白井克也さんらが古代ギリシャ人に扮し、<響宴=シンポシオン>を催した。

 

 

古代ギリシャ人が必死で神様にお伺いしたこと

<宴>は、シシンさんと白井さんが、現在開催中の特別展『古代ギリシャ

 
—時空を超えた旅—』で展示されている作品の意外な見どころを紹介。さらに、「響宴」「死生観」「恋愛」「古代オリンピック」の4テーマのもと、古代ギリシャ人の生活や価値観を物語る作品のツボについて解説した。
 例えば、シシンさんの注目作品は『神託伺いの鉛板』(前5世紀半ば/エペイロス地方、ドドナ神域出土)。長さ4センチ、幅3センチの鉛板で、両面に碑文が記されている。
 古代ギリシャ語が読めるシシンさんは、「古代の人たちが一体何について、神様に聞いたのか、実に興味ありますよね―。この鉛板には4つの“お伺い”の碑文があるんですけど、“私の羊毛、どこに行ってしまったんでしょうか?”“アイツが私の羊毛を盗ったのでは?”などとあって、実に人間らしい。それにしても古代ギリシャ人って、どれだけ羊毛好きなんだろう(笑)」。

こんなところに、ミュケナイ人の指紋が!

 また、白井さんのオススメは、『線文字Bの粘土版』(前1375〜前1350年頃、クレタ島、クノッソス宮殿の出土、粘土)だ。線文字Bは、英国の建築家ベントリスと言語学者チャドウイックが、ギリシャ文字であることを解読。エーゲ海文明を紐解いていく鍵の一つで、考古学の歴史上、重要な文字だ。だが、白井さんのツボは意外なことに、書かれた内容ではなく粘土版の裏側。
「ミュイケナイ人の指紋がいっぱい遺っているんです。彼らの存在が本当に身近に感じられました。残念ながら展示では裏側を見ることができないので、“裏には古代人の指紋が……”と、想像してください。因みに指紋は、当たり前ですが、現代の私たちと同じです(笑)」

あのサッポーが作詞した「エロス」の歌

 

 また、会場を沸かせた二人の解説に続いて、古代ギリシャの音楽を復元した演奏も披露された。古代ギリシャの服装を纏った男女4人の音楽隊 (佐藤二葉、栗原日子述、藤野沙優、あおい) が、亀の甲羅から作られた古代ギリシャの竪琴「リュラ」などを演奏しながら、女性詩人サッポー作詞の曲『エロスが……』や古代ギリシャで人気を誇ったという音楽家ピンダロス作詞のオリンピア祝勝歌『至高のものは水』など全6曲を披露。会場が大いに盛り上がる中、1時間半の宴は、「ヒエー•パイアーン、ヒエー•パイアーン、ヒエー•パイアーン!」と乾杯三唱で締めくくられた。

 

特別展『古代ギリシャ —時空を超えた旅—』
 

博物館内には『聖闘士星矢』の撮影記念館版も設置されている。

期間/9月19日(月•祝)まで
休み/月曜日 、7月19日(火)
※7月18日、8月15日、9月19日は開館
時間/9:30〜17:00
※土日、祝日は午後6時まで。金曜日及び、
7月、8月の水曜日は午後8時まで。
※入館は閉館の30分前まで。
場所/東京国立博物館平成館
(東京都台東区上野公園13-9)
観覧料/一般1600円、大学生1200円、高校生900円(いずれも当日券)※中学生以下無料
「長崎展」
10月14日(金)〜12月11日(日)
「神戸展」
12月23日(金•祝)〜2017年4月2日(日)

 

藤村シシンさん(プロフィール)
作家•古代ギリシャ神話研究家。1984年生まれ。東京女子大学大学院博士前期課程修了、史学専攻。高校生の時に見たアニメ『聖闘士星矢』の影響でギリシャ神話にはまって以来、古代ギリシャに人生を捧げている。ギリシャ語に精通。また、「藤村一味」を結成し、文章、イラスト、漫画、研究、祭儀再現などあらゆる角度から古代ギリシャを本気で遊びながら追っている。