ダイコンや大豆の若芽には、成長に必要な栄養が詰まっている。 近年、さまざまな若芽が「スプラウト」と称する高機能野菜として注目されている。 スーパーでも買える身近な野菜に秘められた、意外と知られていない効能を紹介する。

監修/吉田企世子(女子栄養大学名誉教授、農学博士)

 

「30年くらい前、まだ日本に普及する前のモロヘイヤを栄養分析したことがあります。原産地のエジプトでは『王家の野菜』と呼ばれるほど栄養効果が高いことで知られており、調べてみると、メザシより多い260mgのカルシウムをはじめ、ホウレンソウの2倍のβ-カロテン1万μg 、カリウム530mg、フラボノイドの一種で抗酸化作用の強いケルセチンも豊富でした」

 と語る農学博士・吉田企世子先生は、高機能食品に着目したパイオニアのひとり。モロヘイヤのように栄養効果の高さが話題となり、健康への効果が注目されて広まった野菜は少なくない。

 最近、健康に気を遣う人々のあいだで注目されているのが「スプラウト」というもやしの仲間。若芽にはたくさんの栄養素があって、抗酸化作用が高い。たとえば、ブロッコリー・スプラウトはβ-カロテンが豊富で、インスリン分泌を促進して糖尿病の予防に効果があるクロムを含んでいる。抗酸化作用が強く、肝臓を助けて有害物質を解毒する健康成分スルフォラファンも、成長したブロッコリーの20倍から50倍もある。また、ビタミンCはピーマンよりも多く美肌効果も期待でき、サラダにして食べてもよい。

 ビタミンB群が豊富なマスタード・スプラウト、カリウム含有量の多いレッドキャベツのスプラウト、ビタミンEが多いガーデンクレスのスプラウトなども注目される。

 野菜には、酸化作用の強い紫外線などから身を守るために発達したフィトケミカルという成分が含まれる。スプラウトに多いスルフォラファンやニンジンに含まれるカロテンなどは、細胞や不飽和脂肪酸の酸化を防ぎ、老化やがんの原因を減らしてくれる物質。野菜を食べることは、そうした物質を体内に取り込むことなのだ。

「抗酸化作用のあるビタミンEや、体内でビタミンAに変わるβ-カロテンなどは、細胞を守って老化を予防してくれる大切な栄養素なのです」

 野菜はムダな部分がない食物だ。とくにダイコンやカブの葉には、β-カロテンやカリウム、カルシウムを骨に定着させるはたらきがあるビタミンK、ビタミンC、タンパク質合成や骨や歯の形成に深く関わっているビタミンEなどが豊かに含まれている。捨ててしまうのはもったいない。

「グリーンアスパラガスはアミノ酸が、豆苗にはβ-カロテンやビタミンB群やビタミンK、葉酸が豊富。これらも栄養効果の高い野菜といえます。こうした野菜を食べることは、体に欠かせない、たいせつな栄養素を取り入れることなのです」 

 

【スルフォラファンはブロッコリーの20倍!】
発芽3日目のブロッコリースプラウトには、抗酸化物質スルフォラファンがブロッコリーの20倍以上も含まれる。この成分が体を活き活きさせて、がん予防にも効果がある。抗酸化作用には持続性があり、3日間も効果が継続するという。

 

【スプラウトは新芽だから高い栄養をもっている】
通常3~10日間栽培された発芽野菜の総称。植物が芽を出して成長を始めると、乾燥した種子の状態のときにはなかったさまざまなビタミンや酵素などを自分で合成するようになる。だから、栄養効果が高いのだ。 

 

 
「ブロッコリー・スプラウト」  
抗がん物質が濃縮 ブロッコリーの発芽部分に含まれ、近年、抗がん物質として注目を集めるスルフォラファンが濃縮している。また、β-カロテンは成熟ブロッコリーの3倍以上。 

 


「レッドキャベツ・スプラウト」
老化抑制、婦人病の予防に効く
胃酸の分泌を抑制して粘膜を保護するビタミンU、β-カロテン、免疫力を高めるビタミンC、老化を防ぐビタミンE、赤血球生成に欠かせない葉酸などが豊富。  

 

「マスタード・スプラウト」
高血圧を予防する効果がある 血液中のナトリウムを排出するはたらきのあるカリウムを多く含んでいるので、高血圧の改善に役立つ。また、肌荒れを防いで美肌効果が期待できるβ-カロテンが豊富。  

 

「クレス・スプラウト」
辛さが食欲を促す コショウソウのスプラウト。心臓や脳の健康を守るビタミンEは100g中4.1mgと多いのが特徴。ヨーロッパで古くから好まれたスパイシーな味わいが特徴だ。 

 

 

「豆苗」
がんを防ぎ新陳代謝を促す 生育も手軽なことから人気になっている、エンドウマメのもやし。ホウレンソウを上回るβ-カロテンを含み、がんの発症を予防し、動脈硬化を抑えてくれるはたらきが期待できる。またビタミンK、B群も豊富。

 

 


「グリーンアスパラガス」
乳酸を燃焼して疲労回復、血流改善にも効果を発揮 疲労物質の乳酸を早く燃焼させて、新陳代謝を助けるアスパラギン酸というアミノ酸が豊富。また血管を丈夫にするルチンが多いので、高血圧の改善や動脈硬化の予防効果が期待できる。    

 

「大根」「カブの葉」
ビタミン、ミネラルが豊富、辛味成分には抗がん作用も 身は淡色野菜だが、葉は栄養豊富な緑黄色野菜。ビタミンC、E、カリウム、カルシウムに富む葉の部分にはβ-カロテンも多く含まれる。辛味成分のアリルイソチオシアネートは抗菌作用や抗がん作用が期待できる。