鳥居強右衛門(とりいすねえもん)の磔姿を描いたとされる「落合左平次道次背旗」。東京大学史料編纂所が所蔵するこの旗の修理が完了し、裏面も見られるようになった。科学的調査の成果公開も兼ねて、国立歴史民俗博物館ではこの旗と変わり兜を展示する特集展示「戦国の兜と旗」が開催される。

 

落合左平次道次背旗(表) 東京大学史料編纂所蔵
落合左平次道次背旗(裏) 東京大学史料編纂所蔵

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■忠義を貫き死んでいった「三河武士の鑑」の姿

 磔(はりつけ)にされた男を描く「落合左平次道次背旗(おちあいさへいじみちつぐせはた)」は、天正3年(1575)に武田勝頼と織田信長・徳川家康が戦った長篠の戦いにまつわる旗。三河の豪族奥平氏の家臣であった鳥居強右衛門の磔姿を描いたとされる。

 長篠の戦いで、徳川方の守る長篠城は武田軍に包囲されてしまう。強右衛門は長篠城から脱出して家康の下へおもむくが、帰路に武田軍に捕らえられ、籠城中の味方に援軍が来ることを大声で伝えたために磔にされてしまう。その姿に感動した落合左平次道次が、強右衛門の姿を描かせて自身の旗指物としたのが、この旗なのである。

 掛け軸の形にされていたのが、修理により裏面も見られるようになった。今回の展示は修理後初のお披露目となる。あわせて行われた科学的調査の成果についても紹介される。
[旗の実物が展示されるのは、8月9日(火)~8月21日(日)のみ]


■ウサギ耳、ムカデ、蝶々……国立歴史民俗博物館所蔵の変わり兜が続々展示

 戦国時代末期になると戦の規模も大きくなり、集団戦が行われるようになる。そうした戦いの中で活躍を認められるためには、戦場で個人の存在を際立たせる必要がある。

 斬新なデザインの「変わり兜」が発達した理由には、恐らくこうした時代背景があったのだろう。

 今回の「戦国の兜と旗」展、もうひとつの目玉がこの「変わり兜」だ。

 ウサギ耳の「銀箔押張懸兎耳形兜(ぎんぱくおしはりかけうさぎみみなりかぶと)」やムカデの前立(まえだて)が印象的な「鉄一枚張南蛮鎖兜(てついちまいばりなんばんくさりかぶと)」、艶やかな蝶の「鉄六枚張桃形前付臥蝶兜(てつろくまいばりももなりまえつきふせちょうかぶと)」、眼鏡をかけた「鉄八枚張椎形眼鏡付兜(てつはちまいばりしいなりめがねつきかぶと)」など、博物館所蔵の変わり兜が10点ほど展示される。

 意匠の斬新さもさることながら、このような兜にした武将たちの真意も気になるところ。現物を間近に見ながら、思いを馳せてみるのも楽しいだろう。
 

■総合展示 第3展示室 特集展示「戦国の兜と旗」
開催期間/2016年8月9日(火)~9月19日(月・祝)
会場/国立歴史民俗博物館 総合展示 第3展示室副室
(千葉県佐倉市城内町117番地)
休館日/毎週月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館。8月15日(月)は開館)
開館時間/9:30~17:00(入館は16:30まで)
お問い合わせ/ハローダイヤル 03-5777-8600(8:00~22:00)

 

銀箔押張懸兎耳形兜 国立歴史民俗博物館蔵
鉄一枚張南蛮鎖兜 国立歴史民俗博物館蔵



 

鉄六枚張桃形前付臥蝶兜 国立歴史民俗博物館蔵
鉄八枚張椎形眼鏡付兜 国立歴史民俗博物館蔵