◆『脳はどこまでコントロールできるか?』
脳科学的に裏付けのある「成功法則」とは?

 世の中には、さまざまな成功法則の本が溢れているが実際にどの程度の効果があるかはかなり怪しいと思える。
 ただ、それらの本を読んでいくと、いくつかの共通した概念が根底にあることに気づくだろう。
 たとえば、成功するためには「自分を大事に扱いなさい」というものがある。
 よく知られたところでは、エドモンド・ロスチャイルド男爵の夫人。ナディーヌ・ロスチャイルドの物語が有名だ。
 貧しい家庭に生まれ育った彼女は、中学卒業と同時に家を飛び出して、町工場などで働き、やがて小劇場の女優となる。そしてある時に世界の大富豪でロスチャイルド男爵に出会い求婚されるという成功物語。
 彼女は、著書の中でいくつかの成功の秘訣を語っていて、そのひとつに、「あなたがまず心を配るべきなのは、自分自身です」と書いている。
 具体的には、「もしあなたがひとり暮らしなら、部屋は常にきれいに片づけるべきです。ひとりでお茶を飲むにしても、ふちの欠けたカップなどではなく、いちばん上等なカップを使ってください……」というように。
 つまり自分自身を好きになれるように、自分自身に心を配ることが何より大切だと説いているのだ。


◆「大事に扱っているものは他人からも大事にされる法則」 

 自分自身を大事にすることが、なぜ成功するために大切なのか──結論を先に言ってしまえば、自分を大切にしている人は、他人からも大切に扱われる。逆に自分を粗末にしている人は、他人からも粗末に扱われるからだ。

 このことは、「割れ窓理論」という心理学の理論からも証明されている。
 たとえば、あなたの目の前に2台の車が並んでいるとする。一台は手入れの行き届いたピカピカの車。もう一台はホコリをかぶったキズだらけの車だ。
 もしこの2台の車を前にして、「どちらかを棒で思い切り叩いてください」と言われたら、あなたはどちらの車を叩くだろうか?

 誰もがピカピカの車を棒で叩くのは躊躇するが、確かにキズだらけであれば粗末に扱っていいという感覚になるのではないか。
 なるほど人間について置き換えても、同じことが言えるということだ。
 
 これと関連して「成功者の真似をする」という成功法則も、一面で「自分自身に心を配る」ということにもつながっているようだ。成功したいと願って、成功者を真似する行動は、必然的に自分を大事にすることになるはずだ。
 先の「上等なカップでお茶を飲む」というロスチャイルド夫人の成功法則を思い起こさせる。
 
 今回引用した、中野信子先生の「脳はどこまでコントロールできるか?」(ベスト新書)を読むと、脳がいかにだまされやすいかが理解できるが、それを逆手にとって、脳をコントロールすることができれば、まさに人生は激変するのではないだろうか? と思えてくる。