2人は早いうちに“良い経験”をした

 カープの快進撃が止まらない。25年と、12球団で最も優勝から遠ざかるチームが首位を独走するまで至った理由とはなにか。

 昨年と比較して大きく変わったのがカープ打線の看板である「キクマルコンビ」の復活だ。昨季、深刻な得点力不足に陥った打線の中でももっとも痛かったのが「キクマルコンビ」菊池涼介、丸佳浩の不調だった。
 なぜ、ふたりは復活できたのか。「キクマルコンビ」の生みの親である前カープ監督の野村謙二郎氏は言う。

「僕が監督をやらせてもらっているときにキクマルコンビが誕生し、カープの軸として非常に良い働きをしていました。しかし、昨季は周囲の期待を一身に背負って結果が出ず、歯痒い思いをしたはず。ですが、長い野球人生のなかで彼らはある意味“良い経験”を早いうちにできたと見ています。昨季ふたりが経験した悔しさは、野球の神様が“そんなに簡単なものじゃないぞ”ということをアドバイスしてくれたと受け止めるべきでしょう」

 昨季、菊池は両ひざに故障を抱えたままのプレーが続き、攻守ともに精彩を欠いた。そして丸は極度の打撃不振に陥り、打順が固定されない日々が続いた。野村氏が育て上げたふたりの不調はチームの勢いに大きく影響し、4位という順位に直結した形となった。

 悔しさが残る2015年となったチームはシーズン終了後、ふたりは打撃力アップを目標に、秋季キャンプから打撃練習に時間を割いた。

 

求められることを理解してプレーできている

 迎えた今シーズン、菊池は開幕から打率3割をキープしつづけるなど、好調を維持する。野村氏は言う。

「ただ打つだけではなく、今自分には何を求められているのかを考え、右方向への打球を意識した打撃が見受けられます。二番は本当に難しい打順。その点菊池は、バントが出来て右方向にも打てる、そして引っ張りの打撃も得意と、器用すぎるくらい器用。今季は特に監督、ベンチがどういった働きを期待しているのかということを考えて野球をやっているように感じます」

 実際、菊池はチームの打撃好調の理由をこう分析する。
「例えば無死二塁という場面であれば、“右になんとか転がしてでも”という意識をみんな実践できていることが、キッチリ得点を奪えている理由だと思います」

「やはり『自分が決めるんだ』と力むのではなく、『状況に応じた打撃をすればチームのためになる』という気持ちが昨季とは違いますし、力みなく打席に立てている要因だと思います」

 チームバッティングを意識したチーム方針、昨季チームをけん引できなかった悔しさ、このふたつの要素が菊池の意識を変えたと言えよう。

堅実な守備が光る菊池

 

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