NHK総合テレビで放送中の「ブラタモリ」人気も影響してか、「歴史的町並み」を歩き、愉しむ人が急増しているという。「でも、ガイドさんなしに城下町や門前町を巡っても、その歴史的背景や変遷までは分からないし、モノ足りない……」と不満に思う方も少なくないようだ。

そんな諸兄にぜひオススメしたい一冊が、先頃刊行された『城下町・門前町・宿場町がわかる本』(日本実業出版社刊)。本書では、絵図や古写真など多彩な史料を用いながら、城下町・門前町・宿場町の成り立ちや現在に至るまでの過程についてわかりやすく解説している。

さらに目を引くのが、彦根や京都などメジャーな地域だけでなく、城下町・岸和田、宿場町・島田、門前町・琴平など歴史的にはややマイナーと思われる町まで取り上げている点。それぞれの町に古地図、絵図、古写真を提示し、往時の姿をリアルに想像できるように工夫されている。

また、町歩きに有益なホームページを折りに触れて紹介しているのも本書の特徴。数年前まで、各地の古い史料を閲覧、収集するには、現地の図書館に足を運ばざるを得なかった。しかし最近では、各自治体、観光協会、図書館などのホームページでデジタル化された歴史史料を閲覧できる事例が増えてきた。そこで「スマホやパソコンをかたわらに読む書籍」という方向性を試行している。

著者は、本誌『歴史人』の執筆陣としてもおなじみの外川淳(とがわ・じゅん)氏。史料の丹念な読み解きと現場のフィールドワークの積み重ねに立脚した鋭い分析に定評がある歴史アナリストだ。

「本書の内容をしっかりと理解すれば、たとえここに掲載されていない町でも、ご自分だけで『ブラタモリ』できる力を養えますぞ」。そんな著者のハッパが聞こえてきそうな快心作といっていいだろう。

「外様大名と譜代大名の城下町街路の違い」「城下町を3つのタイプに分類したら……」など、著者渾身の大胆な仮説も必読!

 

【目次】
1章 「古地図で歩けるまち」彦根の歩き方
2章 京都から江戸へ―都市の歴史を読み解く
3章 歴史的町並みを巡るには?
4章 城下町の歴史を読み解く
5章 城下町の作り方
6章 惣構えと寺町―都市防衛の強化
7章 「古地図で歩けるまち」角館を歩く
8章 宿場町の作り方
9章 門前町の聖と俗
10章  歴史的町並みの未来像

 

●書名/『「昔の名残」が見えてくる! 城下町・門前町・宿場町がわかる本』
●出版社/日本実業出版社
●定価/1500円(税別)
●ページ数/272ページ

 

【著者紹介】
外川淳(とがわ・じゅん)

1963年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部日本史学専修卒。歴史雑誌の編集者を経て、現在、歴史アナリスト。徹底した史料の調査と、史跡の現地検証によって歴史の真実を再構築しながら、わかりやすく解き明かす手法により、歴史ファンの支持を集める。戦国から幕末維新までの軍事史を得意分野とする。歴史ファンとともに城郭・台場・城下町を巡る歴史探偵倶楽部を主催。