カジノを中心とした統合型リゾート(IR)を推進する法案(カジノ法案)が、参院本会議で審議入りしました。自民、維新両党は9日の参院本会議での成立を目指しています。
そもそもカジノに期待できる経済的利益はいくらなのでしょうか? その予測は正確なのでしょうか? 『カジノ幻想』(ベスト新書)の著者、鳥畑与一氏に「経済効果のトリック」について伺いました。

「カジノの利益」に隠されたトリック

 

 カジノ推進派によれば、経済的効果の推計は、どの程度の顧客が訪れ、平均的にどれぐらいのギャンブル消費を行うかという推計を積み重ねた需要アプローチと、建設されたカジノの規模に応じてギャンブル消費や関連需要が発生すると推計する供給アプローチがあるとしている。
 推進派の初期の推計は需要アプローチによるものが多く、概してその経済効果の規模は数百億円規模と小さい。

 米国等でのカジノの実績に基づいて推計すれば、東京お台場カジノの場合でも経済波及効果は740~1400億円程度であり、構想の候補地の最有力の一つ、大阪市臨海カジノの場合でも700億円程度である。

 

 ところが、これが近年主流の供給アプローチになると、シンガポールと同規模のIR型カジノが建設されれば9000億円近い投資により関東地区だけで3・7兆円の経済的波及効果が生まれるというまさに「桁違い」の期待がばら撒かれることになっている。
 後者の場合は、アジアにおけるIR過剰の市場分析を全く欠いた外国人客への過剰な期待に基づくものであり、日本人のカジノ漬けを大規模に行わないと成り立たない推計値となっている。

 実際、カジノ合法化で想定される市場規模(収益)でみれば、表1-1に見るように400億ドル(約4・8兆円)とも言われるカジノ市場の規模はパチンコの約3・9兆円を含めた日本のギャンブル市場5・5兆円をほぼ倍増させることになる。

 果たしてこの数字をメリットとして受け取っていいのだろうか。注目すべきは、この試算を達成するために必要な、「一人当たりのお金」だ。この年間約4・8兆円のカジノの収益規模は、成人1億人が毎年4・8万円をカジノで「負ける」ことを必要とするのであり、それは日本人のギャンブル漬けを一層深刻化させるものではないか。