「いさぶろう ・しんぺい」

 

各駅スイッチバックにループ線など多彩な車窓風景が連続する
「いさぶろう ・しんぺい」(運行会社:JR九州)

肥薩線の人吉~吉松間を結ぶ「いさぶろう・しんぺい」は全国有数の山岳路線を行く観光列車だ。人吉、吉松両駅のほぼ中間にある矢岳駅が頂上となっていて、列車は最大傾斜3パーセントの険しい山越えに挑む。 

最大のビューポイントは、矢岳駅と真幸駅との間で現れる。トンネルを抜けた先、真幸駅に向かう「いさぶろう」なら左側、矢岳駅行き「しんぺい」なら右側の車窓いっぱいに広がるのは、えびの高原の雄大な眺めだ。奥には韓国岳など霧島の山々が望め、天候に恵まれれば遠く桜島、開聞岳までもが見渡せる。JR北海道根室線の狩勝峠越え、JR東日本篠ノ井線の姨捨越えとともに日本三大車窓のひとつと称されるのもうなずけるであろう。絶景を心ゆくまで愉しめるようにと、列車は坂道の途中でしばし歩を休める。

日本三大車窓以外にも車窓の見どころは数多い。大畑駅と矢岳駅との間では、「いさぶろう」なら右奥、「しんぺい」なら左奥に九州山地南端の名峰、江代山や市房山がそびえる様子が車窓いっぱいに飛び込む。それまで列車はうっそうと茂る木々の間を走り続けてきただけに、ビューポイントで一気に視界が開けるという演出は心憎いばかりだ。ここでも列車は停車し、ガイドさんの名調子に乗せて山々の名が紹介される。  

山越えを少しでも楽にするために、「いさぶろう・しんぺい」の道中には、大畑、真幸の両駅にスイッチバック、そして大畑駅を中心にループ線が設けられた。なかでも圧巻は大畑駅とその周辺だ。ぐるっと回るループ線の途中にジグザグ折り返すスイッチバックの駅が設けられたつくりはとても珍しい。スイッチバックで列車が向きを変えながら進んでいく様子は車内のモニターに映し出されるし、ループ線を一周して下のほうに線路を見下ろせる場所はビューポイントとなっていてやはりいったん止まるから、山に挑む鉄道の様子が堪能できる。 

数々のビューポイントを余すところなく楽しめるよう、「いさぶろう・しんぺい」の車内中央には展望室が用意された。一部の車両の展望室には、窓が目の高さだけではなく、天井部分と床部分とにまで広げられたパノラマ窓となっていて、車窓に飛び込む景色はいっそう迫力を増す。 

また、座席部分の窓にもご注目。この窓は開閉できるので、ビューポイントではぜひとも窓を開け、景色をダイレクトに愉しみながら、心地よい風を体いっぱいに浴びよう。 

 


日本三大車窓「善光寺平」が見られる列車
「リゾートビューふるさと」(運行会社:JR東日本)

運転席後ろにパノラマビューを愉しめる展望スペースを設置。午前中の長野発便では、日本三大車窓ポイントである姥捨駅で17分、穂高駅で27分停車し、沿線風景を堪能できる。