クフ王の墓所で知られるピラミッド。このピラミッド自体はエジプト・中南米に分布する四角錐状の巨石建造物の総称なのだが、いずれも当時の王たちの権力の強大さがうかがい知れる遺産といえるだろう。

日本にはまるで縁のないこのピラミッドだが、岡山県赤磐市には、マヤ文明やインカ帝国を彷彿させる巨大な組積建造物が存在する。岡山県の南部にある熊山は標高507メートル。この山頂付近にある広場にあるのが、昭和31年9月27日、国史跡に指定された熊山遺産だ。

山頂の岩盤部に基壇を築き、その上に三段の石積を構築。二段目の四方には仏像などが納められていた龕がある。また、三段目の真ん中には方形の竪穴が設けられており、ここには陶製筒形容器と奈良三彩小壺が納められていた。ちなみに奈良三彩小壺は現在では紛失、陶製筒形容器は奈良県天理参考館に収蔵されている。

この建造物だが、それぞれの段は四角く石が積まれており、各面は正確に東西南北の方角を向いている。こうしたことからも、規模の小さなピラミッドと酷似していると想像してしまうのはあながち間違いではないようにも思える。

さて、気になるこの遺産の正体だが、戒壇、仏塔、権力者の墓、修験道の遺構など各説存在しており、正確なところは今も不明。ただ、奈良時代に造られたものであるという説が有力のようで、その正体は当時の仏塔だったのではないかと研究者の間ではいわれている。この熊山周辺には、類似した遺産が32か所点在しているのだが、いずれも目的や造られた時代など、謎は解明されないまま今日に至っている。

形状がピラミッドに酷似していることからも、パワースポットとしての人気も近年では高まりつつあるようだ。山頂にあるこの建造物を見ながら、遠い過去に栄えたインカ帝国やマヤ文明を想像することは歴史ロマンの謎に触れている気分に浸れるともいえるだろう。

熊山遺跡 写真提供:岡山県