■好調の投手陣を支える打率1割台の「女房」

 投手にとって、長いペナントレースの中で夏場は1つの試練のときかもしれない。8月に入り、乱打戦や試合時間の長い試合が目立つようになってきた。

 セ・リーグ首位を走る広島も同じ。踏ん張ってきた投手陣に疲労の色は濃い。正念場を迎えた広島投手陣だが、ここまでリーグ2位の防御率(7月末日現在)を誇る彼らには、他球団に勝る“内助の功”がある。

 開幕投手クリス・ジョンソンは開幕から17試合連続でクオリティー・スタート(先発投手の評価指標で6回以上自責3以下)を記録し、昨季5勝の野村祐輔がすでに自己最多となる12勝を挙げハーラートップを快走している。
 後者、野村は独身だ。内助の功と言っても、正妻ではなく、女房役と言われる捕手の存在だ。

 石原慶幸こそ、広島躍進の陰の立役者。
 8月2日ヤクルト戦でバレンティンが振り抜いたバットが頭部を直撃して「脳震とう、後頭部打撲」で離脱中だが、替えのきかない存在と言えるだろう。

 打てる捕手全盛の今、打率は2割にも満たない。昨季広島捕手最多93試合に出場した打力に勝る会沢との併用も、黒田やジョンソン、野村といった主戦はすべて石原がマスクを被る。正捕手の座を奪い返したと言える。

 なぜかーー。
 それは巧みなインサイドワークがあるからだ。先発投手陣は、勝てば石原への感謝を口にする。「石原が本当にいいリードをしてくれた」(黒田)。「石原は相手打者のことを知っている。信頼して投げ込める」(ジョンソン)。厚い信頼があるからこそ思い切って投げ込める。そして配球には裏付けされたデータもある。

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