『変貌する自民党の正体』(ベスト新書)を上梓。常に第一線のジャーナリストとして活躍したきた田原総一朗氏に話を聞いた。

Q12.田中角栄氏を評価すべき、二つ目の要因は何でしょうか?
 

 
 
 

 議員時代、実に33本もの議員立法を成立させているんだ。これは前代未聞で、史上最多なんです。おそらくこれからも、これを超える人は出てこないと思います。
 以前、竹下登さんが首相時代、彼へのインタビューの中で田中角栄について尋ねると「角さんのすごいところは法律をやたらに勉強していて、詳しいところです」という言葉が返ってきた。そして法律を使いこなして、日本列島をどんどん変えていった。
 僕は、田中がロッキード事件で失脚してから6年後の1980年にインタビューした時に「あなたはどうして法律を使いこなせたのか」と聞いた。すると「法律というのは、生き物だ。使い方によって変幻自在。活用するには生まれた背景やこめられた意味を熟知していなければいけない」といった内容の話をしてくれた。
 当時の法律は戦後に占領軍、GHQによって作らされたものが多く、どちらかというと日本を非武装にして、弱体化。生かさず殺さずで存続させていくつもりだった。ところが、共産圏、いわゆる東側が台頭しないようにと、アメリカが政策転換した。西側陣営の結びつきの強化だ。
 そうなると国力を上げるためには経済的発展を遂げなくてはいけない。それに合わせて、田中さんは法律を作り替えたり、新たに立法したりして、日本を強化して発展させていく軌道に乗せたと言えるんです。
 竹下が言ったように、まさに細かいところまで法律を勉強して、日本を変えるために活用していった。それが二つ目に再評価されている部分なんです。


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明日の第十三回の質問は「田中角栄氏は、官僚の使い方も上手かったと聞いていますが?」です。