アベノミクスを批判する金融評論家の副島隆彦氏の話の続きを聞こう。

 

同氏は、この「ますます貧乏になる国=日本」の真の原因は「余剰(サープラス)」であると言っている。モノを作っても売れない。どんなに値段を下げても売れない。だから、人間が余ってしまう。同氏の言葉を別の本(『余剰の時代』KKベストセラーズ)から引用しよう。

金融評論家の副島隆彦氏 (撮影・赤城耕一)

 

「こういう過剰、余剰という問題が生まれて、非常に難しい問題をもたらしている。だから、今の若者たちの一部が突発的に、戦争願望にのめり込みたくなるというのは、だから本当のことを言うと、若者たちの存在そのものが余剰だからだ。人間そのものが余ってしまった。

会社(企業)は、自社で過剰につくり過ぎた商品は市場で売れないから、廃棄処分にする。長年出版業界にいる私は、はっきりと知っている。これを「断裁〔だんさい〕」といって、余って売れなくなった本は、出版社の社長が命令を出して、どんどん潰している。いくら本を倉庫に寝かしてあってもどうせ売れない。倉庫代(倉敷料〔くらしきりょう〕)が嵩〔かさ〕んで仕方がない。雑誌(グラビア誌)はもっと売れなくなった。10万部刷って書店に並べても、2万部ぐらいしか売れないものがほとんどだ。残りはすべて廃棄処分にするしかない。

それで、エイ、ヤーと大きな刃〔は〕のついた断裁機で切り刻んで、それから強い硫酸で溶かし込む。売れ残ったものは結局はすべてゴミ処理にする。このことを出版業界だけでなく、今やあらゆる業界、業種でやっている。それが現代の世界だ。

とりわけ先進国がこのことで厳しい病気に陥っている。作って余っても、破棄処分をしたくない場合は、超安値(おそらく元の値段の10分の1ぐらい)で新興国や貧乏国に流れ出していく。いくらでも安い値段で売られていく。だから、いまは貧乏国、新興国のほうがどんどん豊かになっている。

というのは、先進国で作り過ぎて余ったものが、ものすごく安い値段で出回ってくるからだ。コンピュータでも、自動車でも、電気製品でも何でも、型が少し古いだけのものが、我々が買う値段の10分の1、20分の1の値段で貧しい国に売られていく。それが経済法則( law of Economics〔ラー・オヴ・エコノミックス〕あるいは rule of  economy〔ルール・オヴ・エコノミー〕)というものだ。」(続)