若人よ、常に最敬礼するような師匠を持て!

 

 オレがビートたけしに入門した当時は、お笑い界は上下関係の厳しい徒弟制度だったわけです。今とはまったく違ったんですよ、30年前は。誰かの弟子にならなければ、芸人になることなんて、まずできなかったですから。

 ダウンタウンはもう出ていたけれど、NSCだって82年に始まって、まだ3期くらいのもんでしたからね。そういう意味では、当時の芸界っていうのは誰もが踏み込めない“異界”なんですよ。結界が張られていて素人は絶対に入れない場所だったんですよ。逆に今は養成所がいっぱいあって、学校の延長上にあるんですよ。

 最近、殿(たけしさん)が、「今の若い芸人は礼儀知らず」って嘆いていましたけど、やはり、オレたちの時代とは違う部分がいっぱいあるんですよ。オレらの頃の徒弟制度と、今のスクールカーストの延長上の上下関係はまったく違いますから。

「上下関係なんて知らねえよ。ゲス? 上等だよ!」という人が若い芸人が多過ぎますね。

 そう言う価値観を見ると、自分たちの世界の掟であるとか美意識が破壊されている気がする。それは、オレが、もう年寄りだからなんですけどね……。もちろん、苦労しないで最短距離で売れたってそれは良いんですよ。この世界は能力主義だし、そういう売れ方を否定はしません。

 でも、そんな時にでも、常に最敬礼するような師匠がいれば、楽屋での態度だったり礼儀だったりっていうのはまったく違うと思うんですよ。そういうものは、無くしちゃいけないものだから、師匠っていうのは常にいるべきだと思うんですよね。

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