「瘦せることがすべて」。そんな生き方をする女性たちがいます。

 いわゆる摂食障害により、医学的に見て瘦せすぎている女性のことですが、そんな彼女たちを「瘦せ姫」と呼ばせてもらっています。

 彼女たちはある意味、病人であって病人ではないのかもしれません。

 というのも、人によってはその状態に満足していたりしますし、あるいは、かつてそうだったことに郷愁を抱く女性や、むしろこれからそうなりたいと願う女性もいるからです。

 いま話題の書『瘦せ姫 生きづらさの果てに』の著者・エフ=宝泉薫氏が、「カリスマ瘦せ姫」の存在について語ります。

 

カリスマ瘦せ姫

 希望といえば、カリスマ瘦せ姫の存在も見落とせません。

 世の中にはカリスマ美容師とか、カリスマ店員とか、さまざまなかたちで女性の夢を手助けする人たちがいますが、カリスマ瘦せ姫の場合も何かしら希望を与える存在です。

 たとえば、アシュリー姫。米国在住で、インスタグラムやタンブラーに画像や記事を投稿しています。

 その魅力は、BMIひとケタと思われる体型とやつれた表情で瘦せ姫の美しさと哀しさを体現しつつ、容姿からも言葉からも、この世にあることの矜持(きょうじ)を力強く感じさせるところでしょう。

 彼女の抱える生きづらさが想像を絶するものだというのは、その姿から一目瞭然なのですが、それでもなお、これがせいいっぱいの今の私なのだという意思表明が、そのオシャレで可憐な美学とともに伝わってくるのです。

 そう、彼女はいわゆる「カワイイ」カルチャーの信奉者でもあり、とりわけハローキティやポケモンといった、日本の二次元キャラクターをこよなく愛しています。瘦せ姫には珍しくない嗜好とはいえ、そのハマリ具合はなかなかのものです。

 そんな彼女には、世界中に大勢のファンがいて、投稿した画像や記事には毎回たくさんの「いいね!」や「ナイス!」「パーフェクト!」などのコメントがつきます。

 もちろん、彼女が摂食障害であることは多くの人が知っているわけですが、その切実で突き抜けた生き方が羨望や同情、共感といったものを呼び起こすのです。

 しかし、カリスマというのは往々にして迫害されるもの。彼女のSNSは何度もアカウント停止の目に遭っています。おそらく、極端な瘦身と「カワイイ」生活とを両立させているかのように見える姿が摂食障害を助長すると考える人や、あるいはそこに嫉妬する人による「通報」が原因だと思われます。

 あるとき、アカウントを失った彼女は、新たなアカウントでこうつぶやきました。

「私がこの世界で生きていることは、ルール違反なのだ」

次のページ 存在が排除されるという、アシュリー姫の底知れない孤独感に戦慄すらしました……